角川書店単行本<br> 鵺

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¥1,870
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角川書店単行本

  • 著者名:三田完【著者】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • KADOKAWA(2018/03発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041049099

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内容説明

「鵺王」。陸軍少将でありながら「ホトトギス」の俳人であった亡父の俳号だ。
自らも年老い、父に思いを馳せる演出家・充彦のもとに、四十歳年下の女から一本の電話が入る。いい加減、子どもを認知してほしい――。作家としても一線で活躍を続ける充彦だが、私生活は修羅の連続だった。最初の結婚が破談になった折、女優・弥勒黒美とのありもしない醜聞で放送局を退職に追い込まれた。愛人を同い年の演出家に奪われ、その娘しぐれを奪い返し、彼女との間に子を為した。心休まる時のない人生だったが、因縁の女優・黒美と句会で再会したことで、充彦の晩年に思わぬ変化が訪れる。女や父、芝居に小説を語り合い、和解したかに思ったのも束の間、黒美から充彦に宛て軍用トランクが送られてくる。中にあったのは父の字で〈尼港事件〉と書かれた封筒だった――。戦時下の外地で、父は高浜虚子の師事を仰いでいたのだろうか。時空を超え、忌まわしき過去の扉が開いてゆく。久世光彦を髣髴とさせる官能と怪奇、幻想。醜聞の果てに男が見た真実とは。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さゆ

27
読後モヤっとした感じが拭えないのは具体的なモデルをその妻の言葉で強調した本の帯を見たせいだと思う。販売戦略なのだろうがリアルな人物が頭に浮かび、無理やり他人のスキャンダラスな人生の深部を開示され、けれどそのまま目をそらせなくなった自分への嫌悪感のようなものまで感じるはめになった。つまりぐいぐい読ませる筆力なんだと思う。だからこそ物語自体が持つ世界観への没入を帯に酷く邪魔されて残念。読後はなんだか手元に置くのが嫌ですぐに手放してしまった。これから読まれる方は他の情報を遮断すると楽しめると思います。2018/04/18

keith

25
タイトルからミステリアスな内容かと勝手に思ってしまった。ややこしい名前が多いし、途中で飽いてきて挫折しそうになりましたが、何とか最後まで読み切りました。けど結局何やったんたろ。夜も遅いしもう寝よう。2018/06/07

buchipanda3

22
読み終えてハッと夢から醒めたような感覚が心地良かった。老演出家・護摩堂充彦の現在と過去の日々、そして彼と父親の関係という話なのだが、熟れた文章で紡がれた味わい深い小説にスッと取り込まれた。人はきれいな一面ばかりを持つわけではない。それゆえに家族のありのままの姿を知る事は、ある意味もっとも怖い事かもしれない。だが主人公は父親との折り合いをつけるべく、鵺の正体に向け一歩踏み込む。その先にあったのは・・。眠さんとの趣のあるやり取りが印象的。彼にも実在モデルがいたのだろうか。あと宇野亞喜良さんの表紙絵が堪らない。2018/06/10

そうたそ

20
★★☆☆☆ 何だか虚実入り交じるかのような構成のストーリーで、わかるようなわからないような。読み終わっても結局何だったのやら、と。今までの著者の作風とはまた異なるようなもので、その文章には相変わらず達者であると思うものの、ストーリーに関しては好みとは言えず。2018/09/25

ぶうたん

5
帯の未亡人が書いているように久世光彦をモデルにした小説。拍子の宇野亜喜良からは、もう少し怪奇な味わいを期待したのだが、虚実の間にたゆたう面白さはあるものの、期待した方向の作品では無かった。だからと言って面白く無かったわけでは無く、風俗小説的な味わいでそれなりに楽しめたのは事実。最期はやや唐突な気がしないでもないが、まあ節操のない主人公を中心とした渦巻きが収束するためには仕方がなかったのかもしれない。あと、個人的にはヒロインは樹木希林の感じはしなかった。2022/09/28

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