内容説明
外食チェーンで深夜のワンオペバイトを続けるノーフューチャーな青年。ある晩彼は強盗に襲われる……だが、それは想像を絶する事態の幕開けにすぎなかった!(リスポーン)捕まえた若者をあえて逃がす決意をした賞金稼ぎ。その理由は、若者が作ったゲームに隠されていた(時計仕掛けの兵隊)――ケン・リュウ、桜坂洋、アンディ・ウィアーら現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結し、ゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初登場11編を含む、傑作オリジナルSFアンソロジー。【収録】序文=アーネスト・クライン/「リスポーン」桜坂 洋/「救助よろ」デヴィッド・バー・カートリー/「1アップ」ホリー・ブラック/「NPC」チャールズ・ユウ/「猫の王権」チャーリー・ジェーン・アンダース/「神モード」ダニエル・H・ウィルソン/「リコイル!」ミッキー・ニールソン/「サバイバルホラー」ショーナン・マグワイア/「キャラクター選択」ヒュー・ハウイー/「ツウォリア」アンディ・ウィアー/「アンダのゲーム」コリイ・ドクトロウ/「時計仕掛けの兵隊」ケン・リュウ/解説=米光一成
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
114
ゲーマーもオタクも仮想世界への可能性を認める人も静かな興奮に襲われる短編集。序文を担当しているのが、映画『レディ・プレイヤー1』の原作者なのでそれだけでテンションがダダ上がり。「救助よろ」は男女の現実への対処法と価値の置き方が見事に描かれつつある中でラストの嫌さが跡を引く。一方で「1アップ」は世間から眉を顰められ、馬鹿にされがちな一定世界でのネット上での繋がりが現実にリンクしていきます。真実を知る過程がゲームの選択肢的などが面白い。そして『スタンバイ・ミー』的な青春モノになっているので私は好きです。2018/04/24
アナーキー靴下
91
ビデオゲームをモチーフにした短編SFアンソロジー、想像以上に面白かった。「救助よろ」「アンダのゲーム」はどちらもMMORPGに没頭する話ながら、現実との折り合いのつけ方は真逆。両方好き。再帰的な選択「NPC」はある種の成長譚、人生譚のような趣があり、心に響く。一番好き。ほぼゲーム要素のない「リスポーン」は、ゲームへの没入そのものを鋭く抉られた気分。ゲームは逃避かもしれない、しかしハマるのは気軽で楽しいからではない。苦しくてままならなず、クソみたいにつまらない単調な繰り返しだからなのだ。人生のように。2022/06/22
Panzer Leader
87
自分がプレイすることは無くなって久しいがゲームを主題にしたSFアンソロジー。既知の作家はアンディー・ウィアーやケン・リュウ位しかいないが中々粒の揃った作品ばかりで、SF好きの人でもゲーム好きの人でも楽しめると思う。自分のお気に入りは「猫の王権」「キャラクター選択」「アンダのゲーム」2020/10/09
ゆかーん
67
ゲーム好きな人には絶対楽しめる傑作集!アンディ・ウィア氏や、ケン・リュウ氏などを期待していたのですが、意外と自分の型にはまらなかったのが残念…。ですが、新たな作家さんの、魅力あるSFゲーム体験が実現できたので大満足です!RPG、戦隊モノ、チャット形式、何でもあるので、好みの作品が分かれそうです(笑)今回、1番のお気に入りは「キャラクター選択」。子育て中の妻が、夫の戦闘ゲームの秘密を解き明かしてしまうという話。最後の最後にに待ち受ける予想外の展開が面白かったです。ゲームと人との様々な繋がりって凄いです!2018/06/29
キク
58
面白い。テレビゲームのアンソロジー。映画や小説が物語を経験する伝統的な手段だった。でもゲームは選択権が体験者にあるので、物語への没入度はもっと高くなる。歴史が浅くバカにされがちだけど、アニメが一つの文化として認知された以上の可能性がある。宮崎、庵野ぐらいの人がゲーム業界に出てきたら、、、って、思ったら宮本茂と岩田聡がいたな。でも任天堂は結局システム重視で、表現や物語に興味なさそうだしな。でも、そのうち絶対に出てくる。大きな金が動き表現の可能性が高いので、若い才能は文学じゃなくゲームに集まることにきっとなる2022/11/27