内容説明
2010年6月に河出書房新社から刊行された『ワインの歴史』を改題、改訂し、文庫化しました。
ワインはメソポタミアに始まり、
エジプト、ギリシャ、ローマを経て、
欧州、世界へどのように広がったのか?
旧約聖書と新約聖書のワイン記述の違い
130種類以上のワインがあった古代ギリシャ
ワインはローマ軍の必需装備だった
ブルゴーニュワインはシトー派修道院が源流
ナポレオン三世が「格付け」を作らせた
--等々、ワインのことをあまり知らない読者も
楽しく読むことができる歴史読み物です。
文庫化にあたっては第10章を改訂し、文庫あとがきを加えました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大先生
12
弁護士が書いたワインの世界史。かなり詳細かつ本格的な内容。本業がありつつ、ここまでワイン史を極められるのかと驚嘆しました(汗)。本書では【ワインの起源がメソポタミアにあり、我々がイメージするワインの誕生はエジプト】みたいな部分から詳細に語られていますが、第10章「ワインの新ルネッサンス時代」が一番身近で面白い。例えば、伝統とテロワール重視のフランスVS現代醸造技術のアメリカとか、いかにもって感じですね。また、旧世界ではワインの分類は「地名」であり、品種ではなかったというのは驚きですが納得です。2022/02/04
Mark X Japan
10
ワインの本ですが,地理・世界史・化学・生物なども内容を十分に理解するために必要です。ワインも地理・世界史・化学・生物等が複雑に絡み合いながら,今日を迎えています。著者が西洋史を理解するために,キリスト教・建築・ワインを選んだのもよく分かります。人に歴史あり,ワインも歴史あり,ですね。☆:4.02020/08/14
0010
7
読み終わるのに半年くらいかかりました。微生物や菌の研究の偉大さを改めて学びました。パストゥールの業績はワインの進化に大きく貢献しています。 今後も解明できていない事が多々あるので、期待です。2019/04/09
Wataru Hoshii
5
弁護士でワインの専門家でもある山本博さんが書いたワイン通史。猿酒の話から入るのには驚いたが、文化としてのワインを知る上で有益な書物。ワイン通の方には当然なのだろうけれど、例えばブルゴーニュのワイン作りの源流がシトー派修道院であり、ボルドーは貴族や大商人の邸宅での自家消費用に始まるというのは、その後のそれぞれの地のワインとワイナリーの性格を端的に表している事実だと思う。産業革命による生産地の激変の話も面白い。ワインは現在も変化し続けている歴史文化的存在であり、十数年前の常識が通用しないということもわかる。2018/07/15
るるぴん
3
グラスへの関心からワインの歴史を紐解く本を探し、たどり着いた。図書館で借りたが、かなり詳細で中身がギュッと濃いので、結局購入。まずは後半を中心に読んだ。ワインの急速な多様化と広がりは貴族を頂点とする封建社会の崩壊(コックの失業と転職)、産業革命(鉄道網の発達)にあった。乾燥地帯は水よりも保存性の良いワインが重宝した。ワインは文化そのもの。奥が深い。読破に時間を要しそうなので、日々少しずつ読んでもいいかな、という感じ。ワインに少しでも触れる仕事の人は読んで損はない。著者の本職が弁護士というのが面白い。2018/06/21