文春文庫<br> 武道館

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文春文庫
武道館

  • 著者名:朝井リョウ
  • 価格 ¥733(本体¥667)
  • 文藝春秋(2018/03発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167910280

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内容説明

【正しい選択】なんて、この世にない。
「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に”自分の頭で”選んだ道とは――。

様々な題材を通して現代を描き続けてきた著者が今回選んだのは「アイドル」。
視聴者のあいだで物議を醸したドラマ化を経て、待望の文庫化。
解説には、音楽家として多くのアイドルをプロデュースしてきたつんく♂を迎える。

結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。
独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、
さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。
そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。

「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」
「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」

恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業……
この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、
アイドルという存在から発生したものも多い。
新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。
現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

🐾Yoko Omoto🐾

147
古くはピンクレディーから、私はアイドルが歌って踊る姿を見るのが好きだ。全盛期はほんの一瞬だが、その刹那的な輝きを憧れとともに見るのがきっと好きなのだと思う。物語は、徐々にブレイクに近づいていくアイドルグループの中の一人の目線で進行し、ファンの期待と本当の自分の解離に葛藤する思いが描かれる。確かにアイドルだから○○してはいけないなんてナンセンスだとも思うが、それを仕事とし対価を得ている以上、自分の商業的価値を考えるのがプロというものではないのかとも思う。幸せが別の場所にあると思うなら続けるべき世界ではない。2020/04/04

rico

107
現実のアイドルグループを彷彿とさせる設定、武道館ライブという夢を追いかけ、迷い悩みながらそれぞれの道を選びとっていく少女たち。青春物語の王道だ。その一方、制服を模した衣装で歌い踊るアイドルたちの「旬」は10代後半の一時期。二十歳過ぎれば卒業が待っている。入れ替わりに次世代のセンターを狙う子たちが入ってくる。男性アイドルなら、少年から大人の男になるのを見守る楽しみもある。父親になる者もいる。何だろう、この差は。突き詰めるとジェンダー論になりそうだけど・・。朝井さん、今度は男性アイドルの物語、書いてください。2018/04/30

NADIA

95
オーディションで選ばれたアイドルグループのメンバーの女子高生の視点で語られる物語。結成時に「満員の武道館でコンサートをする」と高らかに宣言したメンバーが卒業する場面からの始まりは、この先の波瀾万丈を暗示されているようでストーリーに一気に入り込める。アイドルとしての社会的な存在感、また本人の自覚・自己管理の厳しさは、普段アイドルに興味のない私にとってはとても新鮮で興味深かった。2020/03/17

エドワード

95
女子高生として普通に暮らし、アイドルとして芸能活動する愛子の心模様。時に嫉妬し、ともに悩む、メンバーとの一体感、幼馴染みとの恋。心に焼きついた武道館。アイドルも歴史が長くなると、様式化する。歌にダンスにバラエティ、テレビにラジオに握手会。そこへ良くも悪くも、今はネット環境だ。音楽も動画も、何でも無料で手に入る。無料で手に入るものは簡単に捨てられる。かたや「歌って踊って、みんなから愛されたい!」と思う少女たちの心は変わらない。アイドルは二十歳まで?恋愛禁止?メンバーのガチな論争、冷めた感覚が今時、と感じる。2019/01/09

優希

86
アイドルの裏話的な側面の話だと思いました。アイドルを取り巻く様々な禁句や現象が現代のアイドル像を作り出しているのですね。芸能界にいるために出会う心がよくわかります。2019/06/09

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