内容説明
須賀敦子没後二〇年。異色の評伝
旅するように生きた須賀敦子。生前から親交のあった著者が、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、東京と足跡をたどり、波乱の一生を描く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
先日松山巌さんの須賀敦子に関する本を読んだばかりなのですが、書いてある部分があまりダブっていないので楽しめました。こちらはミラノ、ベネツィア、ローマ、それと帰国してから須賀が著作を発表するまでの空白の20年間といわれる時期を著作を引用しながら書かれています。大竹さんの文章も須賀さんが書かれているのではないかと思われるくらいに筆致が似ていて邪魔になりません。まるで本人が書いているのではないかという感じでした。2018/03/29
どんぐり
79
「ミラノ」「ヴェネツィア」「ローマ」の三部作に、帰国後20年間の空白から作家活動に入った須賀の足跡をたどる「東京」と「ロングインタビュー」を収載した2018年刊行の文庫本。既読の三部作は、著者が須賀と一体化したかのような筆致で心地良さをもたらすものであった。大竹は、須賀の創作の秘密として、人の孤独を取り上げ、その孤独は「宇宙のなかの小さな一点」のような魂のありようだと述べ、「人を絶望させ、悲愴感に追い込むものではなく、人間のだれもが、究極においては生きなければならない決意と励ましに満ちた孤独であった」→2024/03/24
佐島楓
66
須賀敦子さんの登場が、いかに凄まじい話題となったか、リアルタイムでその熱気を味わってみたかった。複数の言語を使いこなすということが文章に与える影響についても触れられてよかったと思う。人生は旅である。須賀さんは歩き続けるのをやめられなかった方なのだろう。2018/04/22
アキ
59
ミラノ、ヴェネチア、ローマでの朝の散策は気持ちいい。まだ観光客がまばらな石畳の路。その路を須賀敦子もかつて歩いた。イタリアを巡る旅は、大竹にとって彼女の精神に少しでも近づく方法。日本へ帰国後20年近くして60歳で生み出された文章には、自分なりの文体をみつけるためそれだけの時間が必要であった。文学を目指してついに作品を生み出した須賀の「自由と孤独」が背中あわせになった生き方と、知識と実存をいかに結びつけるか挑戦する人生であった、ということを明らかにする書。大竹の思い入れが最後のロングインタビューでよくわかる2019/08/22
ネギっ子gen
50
【書かれなかった期間は、文体が浮上してくるのを待つ時間】須賀と親交の深い著者が、ミラノやヴェネツィアを見て回った須賀敦子の足跡をたどった書。『須賀敦子のミラノ』『須賀敦子のヴェネツィア』『須賀敦子のローマ』を加筆改稿し「東京」を書下ろして、2018年に文庫化。カラー口絵。巻頭にミラノなどの地図。「ことばを探す旅」と題されたロングインタビューと略年譜も付す。解説は福岡伸一。著者は「はじめに」で、<須賀敦子という人は、人々の心のなかにある一言で言い尽しがたい部分を腑分けし、引き出してしまうとことがある>と。⇒2025/04/13




