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内容説明
米ソ冷戦が終わり、日本は経済大国として平和を謳歌すると思われた。だが、1991年の湾岸戦争で状況は一変する。「非自民」の細川政権を皮切りに連立政権の時代に入った日本を、北朝鮮核危機、テロとの戦い、中国台頭による緊張の高まりといった安全保障問題が揺さぶる。さらに経済危機、歴史認識、沖縄米軍基地、北方領土など、冷戦後の25年は危機の連続だった。16政権の苦闘をたどり、日本外交の課題に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
25
冷戦後の政治史というのは、ちょうど僕が社会に関心を向けた頃と時を同じくする。テレビの向こうで演じられた政治家たちの離合集散。それを世界情勢の変化と連動して捉えると、あの頃の映像はこことつながるのか、あれはこういう意味を持っていたのかと、過去の記憶が鮮やかな立体感を持って蘇ってくる。同時に、僕が今まで見てきたことはともかく、これからどう見ていけばいいのかと思うと絶望的になる。マスコミが放つ像のなんと空虚であることか。日本は政治の仕組み上、首相が短期で入れ替わる。国際的な信用を得るには不利ではないかと思った。2017/05/30
coolflat
12
冷戦後の日本政治外交史。海部(湾岸戦争)~宮沢(PKO関連法)~細川・羽田(北朝鮮危機)~村山(村山談話)~橋本(沖縄問題・日米安保再定義)~小渕(ガイドライン関連法)~森~小泉(イラク戦争・平壌宣言)~第一次安倍・福田・麻生~鳩山・菅・野田(普天間問題・尖閣問題)~第二次安倍(集団的自衛権の行使容認)を追う。冷戦後の日本外交は、湾岸戦争に始まって、9.11後のアフガン戦争、イラク戦争と続く米国主導の軍事力行使に対して、「カネ」だけでなくどこまで自衛隊の活動をいかなる形で可能にするのかが一大テーマだった。2017/02/08
あんころもち
11
冷戦後の外交政策を淡々と追う一冊。歴史の授業でほぼ全く触れられなかった世代としては、知識をアップデートすることができる、広い範囲の人にオススメできる。2017/03/11
さとうしん
8
湾岸戦争時の海部政権から、現在の第二次安倍政権までの外交を総ざらいする。関係者の証言を多く引用し、ドキュメンタリー調で読みやすい。個別のトピックで興味深いものは数多いが、中国や韓国との関係、沖縄の基地をめぐる問題などが通時的に追えるようになっているのも魅力。終章もこの四半世紀の日本の外交の良いまとめとなっている。日本だけでなく中国なども、外交がそれぞれの内政の動向と直結している様子がうかがわれ、国際政治と国内政治は切り離しては理解できないと感じた。2016/11/10
モリータ
7
首相の個人的来歴・エピソードを適度に取り入れつつ、その進退そのものを政治史の軸にはせず、またそれにまつわる大小の事件にはほとんど触れない記述によって、安全保障問題、領土問題などの各現在的問題そのものの流れがよく理解できた。2016/11/27