- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
コスタリカが中米という不安定な地域で軍隊を持たずにやってこられたのはなぜなのか?「理想」ではなく「現実」のもとに非武装を選択した丸腰国家コスタリカの実像に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
28
「平和とは何か」を、1948年の軍隊廃止宣言以来60年に渡り「丸腰国家」としてやってきたコスタリカの歴史を紐解きながら考えてみる。それはもちろん「センソウハンタイ、センソウハンタイ」と馬鹿のひとつ覚えのように、壊れたテープレコーダーのように繰り返すことではない。軍隊とは何か。何の為に軍隊は存在するのか。その為にはどんなリスクやコストを負わなければならないのか。軍隊に依らずに目的を達することは出来ないのか。敢えて軍隊を持たないことにどんなメリットがあるのか。政治とは「可能性の芸術」であると、改めて思う。 2019/07/16
ロビン
18
「軍隊を持たない国」として知られるコスタリカについて、国の在り方を決めた経緯と歴史、その平和戦略、国民性、現在の教育・社会問題等がまとめられた好著。「軍隊を持たない」という選択が、一人の指導者の政治的な判断であり決して理想主義から出たわけではないこと、小国が大国の圧力の中で生き延びるためにむしろ現実的な方策であったこと、しかしコスタリカ国民は自国の民主主義と平和的な在り方に強い意志と誇りを持っていること、経済的には発展途上国でも教育費は日本の2倍であることなど、勉強になった。平和について考えさせられる本。2019/08/01
coolflat
11
コスタリカには軍隊がない。コスタリカ憲法12条には「恒久的組織としての軍隊は禁止される」という条項が盛り込まれている。ちなみにコスタリカ憲法は軟性憲法であり、国会議員の3分の2の賛成で改正できる。実際、1949年から現在に至るまで、実に80以上もの項目が部分改変された。しかし12条に関しては、全く手つかずのまま、現在に至っている。ところでなぜコスタリカには軍隊がないのだろうか。それは平和主義を具現化したものでもなければ、市民が求めたものでもないという。当時の国内的・国際的情勢からその選択を選んだのである。2016/10/03
みのにゃー
9
実際軍備をそろえるのはお金がかかる。そのお金を全て教育と福祉にあてられたらいいだろうな。コスタリカと日本の事情は違うので簡単にはいかない。国民の希望がみな同じ方向を向いていることが絶対条件だし。日本がこれを出来たとしたら、戦後だったろう。2009年にこの本が出版されてから7年。コスタリカに変化はあったのかな。この奇跡のような国が存続でき、軍隊を持たない国が増えますように。2016/10/11
imagine
8
軍隊を持たなくなった理由には偶然の産物的な面もあり、さほど衝撃はない。むしろ第6章の「平和とは」に目から鱗が落ちた。日本では「平和=反戦」になりがちだが、コスタリカでは「平和」に関して多様な価値観がある。そればかりか「平和とは終わりなき闘いである」という能動的な定義を持つ。丸腰だけれど、決して弱腰ではない。日本には期待できなくても、あとに続く国が現れてほしい。2017/11/28