内容説明
「何もないまち」では終わらない――！
欧州の地方を歩くと、日本に比べてずっと元気に見えた。なぜなのか、日本の地域再生のヒントになることを何か見つけたいと思って、欧州のあちこちを巡りながら取材を重ねた。当事者の声を聞いて、各地に共通して見えたことは、危機的な状況に陥ったまちほど、危機の本質に向き合ってそこからの脱却に真剣に取り組み、結果的に強くなっていたことだ。人口減少、高齢化、空き家の増加、他地域への依存、経済危機……。それらの危機に立ち向かってきた先達たちの原動力と取り組みに迫る。
目次
第一章 まちを変える、ひとが変える／スペイン サン・セバスチャン
第二章 逆境がまちを強くする／イタリア キャンティ
第三章 環境と経済は両立できる／スウェーデン ベクショー
第四章 資源は足元に眠っている／アイスランド
第五章 「自信と誇り」を持つために／フランス ノール・パ・ド・カレ
第六章 視察では見えないことがある／オランダ ワーヘニンゲン
第七章 地域のことは地域で決めたい／イギリス スコットランド
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
DEE
9
どこの国も地方が大変なのは同じらしいが、その中でも地域のことは地域で決めるという姿勢は日本にももっと必要なのかなと思う。 補助金はあくまでも補助であって、それで食いつないでも未来はないだろうし。 そして行動してるところは行動してるのだろう。スピードもきっと大切。2019/09/17
Strega Rossa
3
欧州の7つのまちの地域再生のルポ。レシピを教えあってまちを世界レベルの食の町に変えたスペインのサン・セバスチャン、空き家を使って集落全体を丸ごとホテルにしたイタリアのキャンティ、化石燃料ゼロ宣言をしたスウェーデンのベクショー、発電を地熱と水力だけでまかなうアイスランド、炭鉱の跡地を世界遺産にしたフランスのノール・パ・ド・カレ、農産物の国際競争力を高めたオランダのワーヘニンゲン、独立意識の高いイギリスのスコットランド。北海道新聞に執筆した記事を元に書かれた日本の地域活性化へのヒントとなる魅力的な事例集だ。2018/06/15
taming_sfc
2
欧州の地域再生の事例を中心として、日本の現在の地方創生にまで思いを寄せる一冊。欧州の事例はそれはそれで大変参考になるが、この事例を日本に輸入できるまでには、住民、議会、首長などの意識が相当な変革をする必要がある。まさに本書はそれを喚起しようとしているものであり、令和の時代の地方創生の出発点となることを祈念する。2019/11/06
ゆきまさくん
2
この本ではヨーロッパの元気で特色あるまちの取り組みと、比較可能な日本のまちの取り組みを取り上げている。事例はあくまで参考、ヒントであって、これを単にまねても本当の意味での地域活性にはならない。この本でいうまちとは、さして大きなまちではなく、むしろ小さいまちばかり。ごく普通の人たちが火を起こしたまちづくり。活かした地域資源も、見過ごされたり、むしろ負の遺産を発想の転換や特徴的に利活用。地域活性化に必要な人材は、いつも身近にあって何気に見過ごす地域の宝を、よそ者の視点ととにかくやってみようという行動力が必要。2018/02/16
佐々木大悟
1
ヨーロッパには過疎化や高齢化などの逆境にも負けず力強く生きる地域がある。環境保護や再生可能エネルギーと経済の両立を実現している地域がある。本書はそういった事例と日本での似たような取り組みを紹介することで、本邦の地方再生のヒントを探っている。終盤では輸出が好調なオランダ農業やスコットランド・カタルーニャの独立運動といったスケールの大きな話題にも話が進む。全7章に共通するのは市民自らが考え、学び、動く姿勢なのではないだろうか。地方が国からの補助金頼みになりやすい日本の構造は、本書を読むと歪に感じる。2018/03/21
