内容説明
夫婦の微妙な機微を描いた初期の意欲作3編。
ミリオンセラーとなった『九十歳。何がめでたい』で現在も注目を集め続ける作家、佐藤愛子初期の「ソクラテスの妻」は1963年度の芥川賞候補になった秀作。
これは著者自身がモデルとされた作品で、浮世離れした夫の行状に手を焼く妻の苦労が描かれる。そして、「二人の女」もまた芥川賞候補となり、親友をモデルにした「加納大尉夫人」は1964年度の直木賞候補となった。
いずれもユーモアと深いペーソスに彩られた、色あせることのない珠玉の一冊となっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
27
金儲けに縁がなく貧乏な文学愛好者にたかられている質屋の経営者ソクラテスとしっかり者で夫の講堂に腹を立てながらもどうにもできない妻。妻の目線で読んでいるとすごく腹立たしい。その後が気になる。2022/01/20
ソーダポップ
20
作家、佐藤愛子さんの初期作3篇を収録。表題のソクラテスの妻。どこか浮世離れした夫と若き妻の哀歓を描いていて、夫婦の心情が巧みに表されている。加納大尉夫人。昭和初期、戦争の足音が聞こえてくる中、優秀な海軍士官の夫と変わり者で粗忽な妻、安代の愛情たっぷりの物語も良かった。初読の作家さんですが直木賞も受賞されていて、著書も多数との事。この方の著書は、これからもどんどん読んでいきたいですね。2020/10/22
ちょん
18
3作品収納。なるほど、恐妻家の話ねー、と思いながら読み進め。妊娠が分かったとたんに愛人の顔が恐妻と同じ顔に見える、という表現には笑ってしまいましたが最後の「加納大尉夫人」というお話は思わず涙がほろり。ちょうど「この世界の片隅に」という映画を最近観たとこだったので、情景が色々かぶってしまった。こういう片隅もあったんだろうなぁと。女として人として夫という男性を大事に思ってたんだろうなぁ、主人公の女の子が少しでも母として生きられてたらいいな、と思わずにいられません。2018/05/09
eremail
1
佐藤愛子は上手い。力強くも、繊細にも、隅々まで文学を感じて読ませる筆力が凄い。表題作は言わずとしれた、俗に言う「駄目夫」、著者の実際の夫をモチーフに描いたものだが、何回読んでも新鮮で納得出来て面白い。徹底的にディスって終わるが、心の深淵には、確かに愛情というものがある事が解る。翻って最後の「加納大尉夫人」これは詩情に溢れ、美しい。でもヒタヒタと迫り来る悲劇が予想され、読んでいてとても辛い思いをした。2026/06/10
mariko
1
佐藤愛子さんの別れた夫がモデルであろうと思いながら、たいそうイライラしながら読んだ。 「二人の女」「加納大尉夫人」と3つ入った本だった。2020/03/19




