内容説明
医学の道に進んだ者は、皆、優しい人間性を持った高潔な人格者達であると、頭から信じていたユリ子の人生は結婚を機に一転する。夫婦関係、親子関係、患者と医師の関係などすべての人間関係を上下関係としか見ない、人間性が欠落した夫。夫が軍医であったため、公職追放による貧困を余儀なくされ、第二子の堕胎と第三子を流産してしまう。何度も離婚や自殺を考えながらも、この結婚に賛成した父への思いと、結婚後間もなく産まれた子どもを父なし子にはしたくないという思いから、苦難や不幸に立ち向かい、夫との人生を貫こうとする姿を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
barabara
7
現時点でまさかの私だけ?!読メ登録、知名度もないからしょうがないのか…あらすじを読んですぐにリクエスト。1週もしないで入荷したのですぐ読めた。これがびっくりの秀作だった。婆ちゃんちの古びた本棚にあった昭和30〜40年代の小説そのもの。語り口の古さも特に気にならず、没落したお嬢様が成り行きで結婚した相手の不甲斐なさに人生を翻弄されていく。悪役=夫とその親族、自身にとってのヒーロー=父、飛び級するような優秀な兄、とその図式も単純でいかにも分かりやすいのでどんどん読める。→続2015/03/31
野川散歩
2
満州で経済的に豊かで愛情溢れる家族と暮らして来たユリ子。無一文となって引き揚げてきた日本でつましい生活をおくっていたユリ子が、兄と医大で同期生だった医師近藤と結婚することを決断したのだが。。。結婚当日早々に婚家から屈辱を受け、暗澹たる結婚生活の幕開け。夫となった近藤は医師としての能力も生活力も乏しく、かといって、妻子に対する情愛はほとんど感じられない。いつ破綻してもおかしくない結婚生活を、親と子を悲しませないためだけに継続するユリ子の強さは賞賛に値する。小説というより、とても上手な自分史という印象。 2015/04/26
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