内容説明
無戸籍の日本人、1万人以上。「偽装ランドセル」で通学しているふりをしていた冬美。生まれて以来、「家」というものに住んだことがない明。身分証明書無しでも就ける仕事を掛け持ちしてきたヒロミ。あまりに過酷で不条理な無戸籍者の現実。なぜ無戸籍になるのか? なぜこの状況は改善されないのか? 制度上は「存在しない」彼らに光を当て、この国が抱える歪みに迫る衝撃のノンフィクション。
目次
はじめに
第1章 戸籍上「存在しない」人たち
第2章 「無戸籍者」が生まれる背景
第3章 「無戸籍」に翻弄される家族
第4章 動きだした無戸籍者たち
第5章 政治の場で起きたこと
第6章 「その後」を生きる無戸籍者たち
終章 「さらには……」のその先に
おわりに
文庫化にあたって
《無戸籍問題に強い専門家連絡先一覧》
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かなっぺ
152
日本に現在沢山の無戸籍者がいる。無戸籍者特に成人無戸籍者は基本的に小中学校に通えずに大人になる。戸籍がないと車の免許も取れず、国家資格の試験も受けられず住む場所も無く困難が待ち受けている。無戸籍児が次々と誕生している現実がある。無戸籍になってしまう理由は何なのか。「離婚後300日問題」、前夫によるDV、貧困、様々な理由で無戸籍になってしまうケースがある。小中と学校に通っていないよし子と百合が、文部科学省によって2016年6月にそれぞれに連絡があり30代で中3から編入出来るようになった。泣いた!2018/01/30
Aya Murakami
146
フユイチ2018年の集大成対象本。 戦時中は赤紙一枚で人命を取引していたようですが、現代日本では戸籍一枚の紙切れで人命をもてあそんでいるのですね。 DVや出産時の代金の問題で戸籍が取れなかった人を本書では紹介していましたが、彼らのために懸命に働く著者を冷たくあしらう日本のお役人は本当に憎たらしい。 無戸籍の日本人を切り捨てるお偉いさん加害者の言い分は「例外を認めると正しい家族の在り方が崩れる」とのこと。なるほど、罪のない子どもを人質に正しい家族を強要しているわけですね。さすがは悪人の鑑です。2019/01/27
rico
69
無戸籍。今ここに確かに生きているのに、公的には「いない」人達。DVから逃れるため。離婚後300日は前夫の子となる理不尽な法に抗うため。さらに、自分の本当の名前もわからない人達。いや、そもそも名前はあったのか?彼らはこの社会の炭鉱のカナリア。皆が目をそらしている問題を突きつける。多くは女性の問題に行き着く。権力を握る人々の多くが家制度の恩恵を享受し、眩暈がするような頑迷さでそれを認めない。政治家としての経験もある著者。本書は、国を動かし法制度を変えるための、戦い方の指南書でもある。黙ってちゃだめなんだ!2019/06/29
vinlandmbit
58
古本屋で購入。途中途中話に入り込みきれませんでしたが本書のテーマである戸籍制度の落とし穴は知っておく必要がありますね。。2019/12/01
さおり
42
これって日本の話なのか、と思う。それくらい、今まで考えたことのなかった世界だ。この事に限らず、当事者にならない限り、私たちはいろいろなことに気がつかない。2018/06/11