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内容説明
資本主義の危機を財政出動で先延ばしする「時間かせぎ」はいまや限界に達している。独仏で大きな反響を呼んだ、現代資本主義論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
34
2013年初出。空間、近接で作られる社会的文脈は、社会にとっては時代と同じように決定的意味をもつ。通詞的、史的時間も大切だ。社会科学的認識は、時間と空間のインデックスで初めて社会科学的認識となる(12頁)。民主主義の脱経済化による資本主義の脱民主主義化(傍点)のプロセスを提示する1冊(30頁)。文化産業が心地よさを生み出し、恒常化するための能力を備えていることを、アドルノは微塵も疑っていなかった(44頁)。資本主義における経済危機は資本側の信頼危機から生じる(50頁)。2016/05/27
tama
9
図書館本 面白かった・難しかった だから貸出期限延長した。銀行危機・国家財政危機・実体経済危機についてEUを主題にして書いている。なんにしても持てる者が更に持つ状態は完成して成長しているそうで、EUは統一通貨はともかく各国通貨の変動相場に変えろと。日本はどうなんだろう。国の借金は世界トップレベルで、アメリカ経済組織に首根っこ押さえられてるし。EUの対処方法が通用するとはとても思えない。2017/07/22
青雲空
9
現代資本主義の行き詰まりを明快に解説できる好著。分析は単純でいながら説得力に富む。結局1970年代の成長率屈折からの宿題を先送りしているという視点には同感である。 そして金融資本主義とそれを支える富裕層の利害に、民主主義が劣後していることを警告。ピケティの指摘とも通じる。 2013年、ピケティの21世紀の資本と同年に出版されながら、ドイツ語ということでベストセラーになり損ねた本。16年2月にようやく邦訳が出たことを歓迎したい。2017/01/11
かず
8
インフレは分配されるパイを大きくするように見えるが、それはあくまで見かけ上のことで、実際に大きくなっているわけではない。しかし短期的に見ると、見かけと現実の間に必ずしも違いはない。インフレは雇用者側にも被雇用者側にも、新たな消費を可能にする豊かさがもたらされたかのような錯覚を呼び起こす。それは時間とともに冷めていき、貨幣価値の下落が貨幣資産の所有者に投資の抑制や他の通貨への逃避をを促すようになった時点で消失する。2016/10/08
ア
4
インフレ、国債、民間債務、中央銀行による債務買取を通じて、資本主義の危機が先延ばしにされていったことが描かれる。十分に理解できたわけでは全くないが、以前読んだブライスの本と似た部分、観点の異なる部分がありおもしろかった。筆者の結論だと、ナショナリズムや最近の政治的ラディカリズム(極右左翼政党の台頭)を容認し得ることになってしまうように思うが、それでよいのだろうか。2016/06/07