内容説明
“マクロン大統領誕生”を2年前に予測。
フランス文化の強さと弱さを解剖する。
学校・家庭での「人の育て方」と「成熟したオトナ文化(センシュアリティ)」の土壌づくり。
教育無償化、少子化対策、グローバル人材育成など、日本が直面する喫緊の課題へのヒントが満載。
ミシェル・ウエルベック『服従』が描く近未来とは異なるフランスの実相。
◆「試験に選択問題はない」「100点満点ではなく20点満点」「鉛筆を使わずボールペンと万年筆」「数学の答案に“技術点”」「給食も収入によって値段が変わる」「子どもには残り物を! 」--日本とまったく違うフランスの教育と子育て。芸術や文化、学術などで、いまなお世界をリードする人材はどこから生まれるのか。
◆在仏20年、パリで3人の男の子を育てた皮膚科医が、フランスのエリート教育や子育てをエピソードを交えて紹介する。日本の親にとっても、子どもを一流の人物に育てる上で、参考になる点がふんだんにある。フランス流の成熟したオトナ文化に関心を持つ多くの読者への示唆にも富む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
92
フランスの教育システム・子育てについて、パリ在住20年の皮膚科医が書き綴っている。その特徴は高校までの教育の無償化であり、各種交付金の財源の6割は企業からの拠出金だという。最も力を入れているのが国語教育であり、授業時間の半分を割く。文豪や詩人の韻文を徹底的に暗記させる。そしてバカロレアは3つのテーマから一つを選択し論述形式。試験時間は4時間。筆記用具は消えないペンを使用する。答案にも芸術性が重視される。システムが根本的に違うので一概に言えないが、出生率の違いに教育費が関与している可能性があるのではないか。2021/07/24
ユカ
45
視野を広げてくれた本。小学校から筆記用具は万年筆でテスト問題は論述式、自身の思考や論述の軌跡を、たとえ間違っていたとしても消さずに残しておくというのが、カルチャーショックでした。大学入学資格試験問題が「労働の減少で、よりよく生きられるか」なんてちょっとゾクゾクけれど、ハイティーンがこれを考える力をもつって、すごい。一生恋愛をすることに個人も社会も寛容で、個人主義でありつつも他者への尊重を欠かさないのは、この国の人々と社会が成熟しているから。この本は、いろいろなところで私の背中を押してくれました。2017/10/28
ののまる
10
題名は素敵だな、と思ったけど、中身は若干書き散らかした感が。2018/01/05
まゆまゆ
10
フランスでは幼少期から「正解のない問題に対応できる力」を鍛えている。美しさと論理を重視し、日本のように間違ったところは消さずに残しておく。恋愛至上も個人主義のなせる技で、国家システムがこれを支える。教育に関するエッセイ部分は参考になる。2017/08/29
まさきち
4
フランスでは子供のテストやノートも、ボールペン、万年筆で書き、書いたものの美しさが評価点になる。その消さないやり方をフランスのフランスたらしめている考え方としてる点は斬新で興味深かった。たまに手垢のついた言説もあり、それは勿体なかった。著者の語彙の豊かさも舌を巻く。2021/12/30