内容説明
家のために働きづめ、その挙句倒れて死んでしまった大切な父。その時母は浮気相手と不義密通を働いていた――。おしのが母をなじると、返ってきたのはおどろくべき言葉だった。「おしのちゃん、あなたの本当の父親はほかにいるのよ。」
母の不義を憎み、次々と母や、男たちに復讐を果たしながらも、不浄な血が流れている自身の存在に悩むおしの。最後の復讐相手、自分の本当の父親と直面したおしのがとった驚くべき行動とは――。犯した罪をどうやって償うべきか。サスペンス仕立てで語られる、罪と罰の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Take@磨穿鉄靴
44
山本周五郎を読むのは初めて。母に対して、そして母と関係した人物の中から「おしの」が許せないと感じた人物に復讐していく、そんなお話。注釈が多くそしてそれを確認しながら進んだのでテンポが悪いまま進む。「あらすじ」まんまの展開で作者が読み手に何を訴えたかったのかよく分からなかった。お父さんがおしのに求めていたことはそんな事だったのかな?そんな訳はないよね。復讐ものはただただ悲しい。幸せって、人間てなんなんだろうね。赦せたら違う世界が見えるだろうけどそんな世界に興味はないか。★★★☆☆2021/05/17
まこみや
43
時代小説・犯罪小説の装いだが、むしろ実態は罪と罰についての現代小説として読んだ。テーマは「御定法で罰することができない罪」を法に代わって私的に罰することが許されるのかということである。このことは二つの問いを投げかける。①社会的正義の実現に私的復讐は許されるのか、それもまた罪ではないのか。②法で罰せられないとすれば、当人の罪はその人自身で償うべきではないのか、とすれば、何をもって贖罪を果たしたことになるのか。結局おしのは自害する。彼女のした行為の正当性はわからない、しかし悔やんでいる風には見えなかった。2023/08/31
Yuki
29
有栖川有栖「ミステリ国の人々」から。薬種屋・むさし屋の娘おしのが働き者だった最愛の父を亡くし、遊び歩いてその死に目に立ち会わなかった母に非情な現実を突きつけられたところから物語が動き出す。心根の優しいおしのが己の身を呪い、母親の浮気相手に復讐を果たす度に嘔吐する様は前述のエッセイの記述通り、本当に痛々しい。やがて徐々に真実に近づく与力・青木と出会い、彼に疑われるなかでおしのの復讐は完全に果たされるのか、それともーー。ウィリアム・アイリッシュあたりの欧米のサスペンスを日本の時代劇に換骨奪胎したような良作。2018/04/01
fseigojp
16
これ映画もあるようだ ミネバ2019/07/08
黒豆
10
本作は庶民生活を描いた作品が多い中で、壮絶な復讐劇を描いた異色の作品、最後のやりとりが印象深かった。2018/08/22
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