内容説明
いつから政治はこんなに縁遠くなったのか。選挙の投票率は低下し、「どうせ民意は反映されない」と冷ややかに傍観する人も少なくない。しかし、そもそもよって立つはずの民主主義について、私たちはこれまで真剣に議論してきただろうか? 気鋭の社会学者が、学校教育、憲法、ジャーナリズム、政党のネット戦略といったトピックを横断しながら、「わかりにくさ」が醸成された背景に迫り、新時代を生き抜くリテラシーを提示する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hk
21
日本の政治をあつかった書籍は数多あるが、本書は他書とは一線を画した存在だ。昨今、多くの書籍が「わかりやすくかみ砕く」ことを主眼としている。翻って本書は「なぜ政治はわかりにくいのか?」を眼目に掲げているのだ。確かに、わかりやすく政治を解説しようとしている書籍は概ね企画倒れに陥っている。つまりメディアは政治を市井の人々に伝えきれていないのだ。本書では「それは何故なのか?」という問いを立てて、著者は分析を進めていく。教育、メディア、経済そして政治…平成の大転換は多岐に及び社会が対応しきれていないと著者はいうが…2018/06/28
鮭
10
政治を知る前の段階や前提について述べた珍しいスタイルの一冊。個人的にはこれを読んで政治を知る前提に入れたというより、政治がわかりにくい理由がわかったという読後感。保守・リベラルの意味が現代政治ではあまり反映されていない点、メディアと政治の関係、学校教育での政治学習の無味乾燥感はわかりやすかった。個人的にはあとがきにある吉田茂の引用が心に刺さる。チャーチルだのワンマンだの言われた彼のような心意気を持った政治「家」が、現代の政治「屋」ばかりが跋扈する国政と無関心国民を見たらさぞ嘆息されることだろう。2024/04/27
バードさん
5
「なぜわかりにくいのか」に対する認識は、読む前とあまり変わらなかったが、明晰に論じてくれていたので、改めて問題の整理に役立った。2018/06/27
ぐりペンギン
5
「平成の30年は失敗だった」とした上で政治をする側の変遷と生活者やメディアのこれまでの変遷を比較し、その分かりにくさを探る。政治が分かりにくくなってしまった原因は一つではないのでスッキリとした結論は難しくとも、理由も分からずただ「分かりにくい、興味が無い」と言うのと政治の現実を知る機会が極端にないまま伝える側が高度化してしまい生活者が追いつけていないから「分かりにくい」というのではまるで違う。日本の政治にはそういう断絶した構造があることが分かるという点でも、一度は読んでおきたい良書だと思いました。2018/05/04
kasagumo
4
理性をもって状況を認識するための、思考の一助となる良書。2019/02/05
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