内容説明
開高健、山口瞳、柳原良平……異彩を放った社員たちが創った寿屋(サントリー)PR誌『洋酒天国』。自らもその編集に携わった著者がユニークな雑誌の歴史や数々の興味深いエピソードを追いながら、高度経済成長に突入する直前の熱気に満ち溢れた時代を描く好著。第24回織田作之助賞大賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
7
戦後の酒場文化の象徴とも言えるトリスバーの、常連の呑んべえばかりではなく文化人たちからも一目置かれていた伝説のPR誌『洋酒天国』。巻末の各号の目次を羅列したページの書き手を見ているだけでくらくらする。しかしながらこれは文芸誌でも週刊誌でもなく一企業サントリーのノベルティ(販促物)というところに伝説的な響きがある。タイトルのとおり『洋酒天国』編集メンバーであった開高健、山口瞳、柳原良平、坂根進らはもちろん、当時の酒場事情や文壇模様をおりまぜながら(あっちゃこっちゃとぶけど)の労作です。昭和は遠くなりにけり。2020/07/13
Saku
4
開高健、山口瞳、柳原良平・・・。サントリーの宣伝部の自由闊達な雰囲気がよかった。このころはいろいろと余裕がある時代だったんだなぁ。2011/09/24
のりべぇ
3
サントリーPR紙の内情、歴史を記した一冊。生きていた頃を知っていた人物と、歴史上の人として認識していたが生々しく接触していたのがゾクゾクする。歴史の連続性を改めて認識するなぁ。2016/11/13
okadaisuk8
3
サントリー宣伝部の記録。開高健、山口瞳、柳原良平の3氏はもちろん、その他の登場人物も豪華絢爛!まあ企業がこれほどの才能をサラリーマンとして抱えた時代はなかなか来ないだろう……戦後の成長期の貴重な記録。2016/09/20
きっしょう
3
年末に読んだ「佐治敬三と開高健 最強のふたり」をきっかけに読む。今でも一企業で直接的な宣伝もせずに新しい文化を提示しながら自社商品の売り上げに結び付けるような遠大な計画を許す懐の深い企業はそうそう無いだろう。当時の自由な社風のサントリーに集結していた才能たちに、嫉妬するばかりなり。2016/05/26