ちくま新書<br> 勘定奉行の江戸時代

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ちくま新書
勘定奉行の江戸時代

  • 著者名:藤田覚【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2018/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480071132

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内容説明

江戸幕府の財政は、初期の頃からほとんどいつも火の車。お金の問題を切り盛りした勘定奉行だが、財政だけでなく農政、交通、司法など政治機能の多くを担い、寺社奉行・町奉行とともに三奉行の一員として、政治案件の意思決定にも深くかかわった。そんな重要役職にもかかわらず、いや重職だったからこそ、家格でなく実力で、ノンキャリアの叩き上げが奉行にのぼりつめる内部昇進の仕組みもあった。社会・文化の変化・成熟、幕藩体制の揺らぎなど、江戸幕府二七〇年の盛衰を、勘定奉行の業績や素顔から解明かす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

135
どの国でも財政を管掌する財務省の力は大きいが、江戸幕府の勘定方も司法や農政まで関与する重要官庁だった。そのため身分制度が厳しい当時でも、実務能力を認められれば低い出自の叩き上げが最高位の勘定奉行に出世できる柔軟な人事制度を採用していたため、荻原重秀を筆頭に神尾春央、小野一吉らの異才が活躍できた。しかし体制が硬直化すると貨幣改鋳や御用金など旧来の制度に固執し、財政悪化を恐れて多額の支出が必要な海防策に反対するなど目先の解決を優先して時代の変化に対応できなかった。官僚の制度疲労が言われる今日にも通じる問題だ。2023/05/21

きみたけ

64
タイトルを見たとき「江戸時代の勘定奉行」ではないことにアレ?と思いましたが、読んでみてその意図に納得しました。著者は東京大学名誉教授で日本近世史専攻の藤田覚先生。勘定奉行の守備範囲の広さと幕府の重要な政策決定に参画していたことから、勘定奉行・勘定所の歴史を知ることは江戸幕府の政治や経済を知ることでもあると説きます。また家格を重んじる江戸時代にしては珍しく、ノンキャリアの「叩き上げコース」があるのが勘定所の特長で、実力のある者が重職に就いて差配できたところに幕府のふところの深さを感じました。2023/09/23

樋口佳之

26
ガチガチの身分制、家格制だけだったら三〇〇年近い政治制度が続くはずもなかった/絶えざる政治改革と柔軟な面、そのしたたかさこそが、長く政治体制を維持できた理由の重要/御用金は献納金や上金と異なり、長期間にわたるものの若干の利子が付けられ幕府から償還される性格のものだった。その点では、現代の国債に近い/ほとんど今と変わらないような金融財政政策が語られていてびっくり/だけど何故ここまできているのに米を基軸とすることが既に限界とならなかったのかしらん。あと、社会保障文教関連が無いのに支出の肥大化が止まらない事2018/04/18

21
勘定奉行の10パーは叩き上げのノンキャリア組。そら石坂浩二さんの白眉毛@べらぼうにうとまれ、ちくちく嫌味も言われる訳である。米から産業農作物への転換とか有毛検見法とかアー用語集で覚えた覚えたなつかしってなるやつ。田沼の税制が薄く広くで批判されてたけど、厚く広くな今に比べればはるかにマシじゃないですかヤダー。水野の株仲間解散令は貨幣改鋳から目をそらすためのものってあって、まあそうだよなってなった。勘定奉行は出世しやすいけど、狐の尻尾切りで失脚しやすいってのはよくわかる。面白かった。2025/02/12

HMax

20
江戸時代の平和を謳歌し貨幣経済が発展しますが、コメ本位制は変わらず、米の豊作で価格が下がっても諸物価は下がらず、如何にして幕府財政の健全化を図るかに苦心惨憺した幕府。その政策は勘定奉行に丸投げ。当然、優秀な人材確保が必要で、福沢諭吉が「親の仇」というようなガチガチの身分制では300年近くも政治制度が続くはずもない。様々な改革を試みるも、内政(財政)優先の勘定奉行では国際情勢の激変を乗り切ることはできなかった。しかし、ペリー来航後の急激な軍事力の増強、江戸幕府本来の姿を取り戻し、なんとか植民地化を防げた。2018/08/25

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