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内容説明
日本の植民地時代の朝鮮釜山に生まれ、熱烈な皇国少年として育った詩人・金時鐘。1945年8月15日、日本の敗戦を境に、強制された日本語でしか言葉の彩を感じ取れない自身の分裂したアイデンティティに気づく。そして朝鮮戦争前夜の米軍の政庁下で勃発した済州島での凄惨な弾圧から脱出し、日本に暮らすことになった金。古里との分断、在日社会における南北の断層、差別、数多くの歴史の修羅場を詩人として、教師として越えてきたその抵抗と創作の闘争史を、反骨の言論人・佐高信が聞く。ヘイト事件が後を絶たない現代日本において「在日」を生きることの意味を投げかける、在日一世の闘う表現者の戦後史。 【目次】はじめに 金時鐘/第一章 戦前回帰の起点/第二章 歌との闘い/第三章 社会主義と祈り/第四章 差別を越える/第五章 文学の戦争責任/第六章 国を超える国へ/おわりに 佐高 信/資料 水平社宣言
目次
はじめに 金時鐘
第一章 戦前回帰の起点
第二章 歌との闘い
第三章 社会主義と祈り
第四章 差別を越える
第五章 文学の戦争責任
第六章 国を超える国へ
おわりに 佐高 信
資料 水平社宣言
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金北山の麓に生まれ育って
2
二回読みました。金さんは発言内容は一般日本人からは無茶ですが一個人としては良い人だ正直だと思われます。韓国の左翼マスコミの記事(和訳)を読むときの違和感、あの反日あの親北朝鮮の姿勢、が金さんの生の声で懇々と聞かされると「あぁそうなんだ、納得できぬが気持ちはやっと理解出来た」と感謝。小倉紀蔵の著書で思想史的に理解しこの本で更に生身の姿を通じ感じれば「やっぱり付き合えない」としみじみ思う。佐高誠はタレントと思えばなかなかの手練れのインタビュアーだと見直した(上から目線で恐縮)、騒ぎが好きなんですね。2019/07/15
猫丸
2
吉本隆明に対する批判、夏目漱石に対する弱い批判がある。どうしても差別が俎上に上ると議論が奇妙な屈折を見せる。例えば、多数の国民の生活水準が上昇したことは絶対的に良いことなんだ、が吉本さんの言い方。僕は全面賛成。これに対し、差別されて搾取され続けた者もいたのだ。というのは正しい。事実である。だから、高度資本主義はダメなんだ、となると、論理が屈折している。そもそもそういう話はしていない。低い経済水準から暮らしが平均的に向上するのは良いことだ、というだけで現状肯定と認定されては、言論ができなくなる。
三上 直樹
2
在日の詩人・金時鐘と反骨の評論家・佐高信による対論。日韓併合から現在に至るまでの政治・社会・文学にわたるさまざまなできごとへの思いをぶつけ合った濃密なものだけに、日本と朝鮮との愛憎の深さが伝わる気がします。 その中に、私のハングルの師である尹学準先生の名が出てきたのがうれしかったです。2018/03/09
うしろや
1
金時鐘さんの詩も読まねば。2019/10/24
1
「詩とは、行き着くところ、現実認識における革命だと思います」2019/02/15