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内容説明
日本史上類を見ない泥沼の長期戦となり、京中を焼き尽くすに至った応仁の乱。『応仁記』は、乱が終結してほどなく書かれたとされる軍記物である。作者は現在も未詳だが、戦乱勃発の背景から文明5年(1473)の山名宗全の死に至るまでの過程を克明に描いたその筆致は、「あの戦いはいったい何であったのか」という、当時の人々が抱いたであろう虚無感を現代にまで伝えている。応仁の乱を知るうえで欠かせない、貴重な第一級史料。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だまし売りNo
29
公家も武家も庶民も奢侈を好んだことを応仁の乱の原因とする。贅沢や飽食は世を乱す。2022/11/19
chang_ume
11
東陣(細川方)をはっきり主人公に設定。斯波氏・畠山氏の家督争いが将軍家に飛び火しながら戦争拡大する経緯を描く。軍功覚書的な側面が強く、その点でいかにも軍記物の性格をもちつつ、一方で公武双方の邸宅や寺社が軍事拠点化(城郭化)した状況も細かく描かれて、乱当時の地理環境が復元できそうな印象も。戦闘がほぼ上京限定の描写も示唆に富む。あたかも市街地が灰燼に帰したような記載は作者文飾ですが、地理情報に関してその他の箇所は意外と読めますね。2023/03/24
記憶喪失した男
11
非常に難解だ。三十四人の人物名がひたすら羅列されたり、そんなに面白いものではない。読みにくくて、読んでいて楽しくない。誰と誰が戦って、誰が勝ったのか、一読しただけではさっぱりわからなかった。仙洞御所に帝が居て、花の御所には室町殿(足利将軍)がいる。2021/01/27
maqiso
1
各家が各地で争っているので、個々のエピソードは面白いが全体的な関係や戦況がつかみにくい。戦闘は西軍が優勢に進めているように見えるが、実際には膠着している。2020/04/12
アル
1
現代語訳にはなっているが、原文の限界はそのままとなっている様子。 記述の時系列もかなり前後しており、乱の全体像を本文からイメージするのは難しい。 特に前半は分かりやすく細川贔屓で、細川勝元や彼が味方した畠山政長を持ち上げ、対立した山名宗全や畠山義就、伊勢貞親や将軍義政らに責任を追わせる記述が多い。 後半の歴史解説も今の目で見ると流石に古く感じるが、単行本の発行年(1994年)を考えれば仕方のないところか。2017/12/10