内容説明
稀代の無頼、西村賢太の原点を炙り出す、新たな代表作。憬れだった築地市場での仕事をたった一日で失うことになった若き日の北町貫多を描く「寿司乞食」。すべてに無気力で受動的だった貫多を、やや向日的な世界へ引き戻したのは梁木野佳穂という女性だった――「夜更けの川に落葉は流れて」。後ろ髪を引かれる思いでいた“あの店”。貫多と店主の20数年にも及ぶ蟠りがある深夜に最高潮を迎える「青痰麺」。表題作含む三篇収録。
目次
寿司乞食
夜更けの川に落葉は流れて
青痰麺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
44
北町貫多が主人公の私小説なので、性格からの破綻はいつもの流れなのだけど、秋恵モノからの脱却を試みているのか、これまで書かなかった話に触れていて、意気込みを感じる。著名人になって以降の事も、私小説の題材になって来ているようだ。主人公のやたけた気分に共感してしまい、元気が出るような、落ち込むような。2018/01/27
おかむら
39
貫多シリーズ新刊。今回は「貫多、築地で働きたい」「貫多、久々の彼女」「貫多、ラーメン屋でキレる」の3本。3本目の「青痰麺」(なんつーヒドいタイトルよ、このヒドさは「腋臭風呂」と甲乙つけがたいね)がここ最近のシリーズの中では1番楽しい! これぞ西村賢太!2018/02/02
ひろぞー
36
いや〜、良かった( ^ω^ )相変わらずの貫多。屑だけど、正直だなぁと思う。なんか人間の本質みたいなものが馬鹿正直に綴られてて好きなんだよねぇ。実際、こんな奴と関わりたくないけどさ(笑)2018/03/11
つちのこ
35
著者没後、未読の作品を読み漁っている。あまりにも早い逝去は残念だが、才能がある人ほど人生短しということだろうか。願わくはもっと読みたかった。三篇が収められた本書の中で腹を抱えて笑ったのが『青痰麺』。ブラックユーモアを通り越した著者ならではのねちっこい性格の悪さがモロに出ている。文字通りの性格破綻者。芥川賞を獲り、時の人になってもこの体たらくはブレていない。作品に溢れる不条理と怒り、己の弱さ、それでいてちょっとばかしの優しさが見え隠れする。これほどの作品を書ける作家を失くしたことが、今更ながらに悔やまれる。2022/03/18
カレー好き
34
西村賢太さん初読み。北町貫多、シリーズなんですね。短気で粗暴、カネに細かく奢った女が礼を言わぬものなら許すまじ。酒を飲んだらどうしようもないけど、なんか憎めない。癖になりそうな作家さん。☆4つ2018/03/08
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