内容説明
愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘッドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。文学少女キャラの友人・高橋さんと家出をしてみたり、彼女の初恋や家族の恋への助太刀を決め、名脇役を目指してみたり。はたして若菜は自分のキャラと、皆の幸せを掴めるか。かしまし迷走青春劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユメ
46
朝倉さんの作品は初めて読んだが、何気ない一行でなんと的確に思春期の複雑な乙女心を表現するのだろうと何度もはっとさせられた。友だちや家族にとってチャーミングな脇役になりたいと、没個性な自分がなるべきキャラを探す若菜。そんなあなたは今まさに自分が主人公である物語を生きているのよ、と彼女の成長を微笑ましく見守った。なんて、お姉さんぶってみたけれど、私の内側にも「十代の時間」があって、その私は若菜のくだらないようで乙女にとっては大切な悩みにこくこくと相槌を打っている。かしましい乙女たちの物語にパワーをもらった。2018/05/07
はるき
33
濃すぎる家族のなかで埋没しそうな自分に危機感をもつ主人公(笑) 父と息子なら葛藤だが、母と娘の関係は随所に笑いの源泉を潜ませています。可笑しかった~!2017/12/03
エドワード
31
16歳の若竹若菜は悩んでいる。高校生という存在に、家族という概念に。自分の立ち位置がわからない。文学少女キャラの高橋鈴子と、家出やバイトなど、様々な冒険に挑む。なにゆえ、若菜は悩むのか?若竹家の面々を見てみよう。曾祖母・飯村和子78歳、祖母・篠塚洋子58歳、母・若竹あゆみ42歳の存在感、それぞれの波乱万丈な人生。堂々と意見を述べる弟の誉。別居中だが夕飯を一緒に食べる父。これだけ強烈な顔ぶれと暮らせば悩むよね。昭和を生き抜いた家族と、21世紀を生きる家族の日々。若菜の繊細な心に共感。作者の視線が優しいね。2017/10/06
たぬ
28
☆3.5 朝倉氏5冊目。文学少女キャラの友人が主人公につけた「竹一」ってあだ名(※もちろん『人間失格』の竹一から)が良い。相手により自分のキャラを変えていること、それを「なんか嫌だな」と思っていることはかなり共感できる。特に58歳の祖母がいいキャラしてるけど現実にいたらアクが強すぎて疲れそうだな…。後半はややダレ気味。この3分の2くらいに縮めてほしかった。2021/03/02
coco夏ko10角
26
曾祖母・祖母・母・弟・別居してる父、女子高生・若菜のあっちこっちな青春。確かに女性陣がパワフル。友達になった高橋さんがいいキャラしてる~。朝倉さんの表現力が今作もキラリ、楽しく読んだ。2018/07/10