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内容説明
国民皆保険制度のもと、日本の医療は「費用」「受診しやすさ」「治療の質」の点で、世界でも高い水準にあった。しかし高齢者の増加に加え、技術の高度化・一般化によって国民医療費は年間四〇兆円以上に及び、対GDP比で世界第三位となっている。本書では、参考にしうる諸外国の医療改革を概観し、患者と医療者の取り組みを紹介。技術面にとどまらない医療サービス全般のイノベーションにより、医療崩壊を防ぐ方策を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かごむし
28
最先端医療の進展や高齢化に伴い、国家の医療負担が高額になり、破たんが危惧される、日本の医療危機について考える本。医療は当然に与えられるものではなく、サービスとしてとらえるべきもので、より効果がある医療を、容易なアクセスで、安価に受け続けるためには、医療の提供側にも、患者の側にも、意識を含めた改革が必要である。国民皆保険制度のなかったアメリカや、徹底したIT化を行う国など、様々な国の取り組みの紹介は興味深かった。QOLという、生命の維持以上に、生命の質に重点を置く医療など、新たな視点を提示する一冊であった。2018/11/16
西
25
勉強になった。確かに今、これだけの医療を比較的安く受けられる仕組みのありがたさを忘れてしまっているなと思う。良い医療が受けられるありがたさが、当たり前と思ってしまっていること。国としての債務が増えていけば、今ある医療水準を落とすことも必要だと思う。自分がその立場に立ったら言えなくなるだろうが、お金は無限にあるわけではないから。2018/06/30
zoe
18
2017年。一般向け。自分にも理解しやすいレベルでまず発散されていました。医療業界のジョブ・タスクを因数分解してまとめ直せば、医療業界も、ライフサイエンスの競争も、働き手も、患者さんも、健康保険にとっても良い改善策が出てくるのではと、思わせてくれます。米国、欧州、日本の根本的な違い。ブータンの幸せと医療。ブラックジャックと赤髭のイメージ。麻酔医と産科医は、専門フリーランス?それとも勤務医?2024/01/20
Francis
16
医療危機とあるのだが、むしろ海外の医療の実態についての記述が興味深かった。限定的な公的医療のあるアメリカ、公的なルールのもとで私的医療保険を運営しているスイス、ITによる医療を推進しているエストニアの事例が印象に残る。それを受けて日本の医療はどうあるべきか、の考察が弱すぎるのが難点。日本の医療はまだ上手く回っている方だからやむを得ないと言えば言えるのだが。とは言えむやみに危機を煽るスタイルで記述していないのはさすがだと思う。2018/05/11
吟遊
13
ほんとに広い範囲をサーヴェイして(国際比較充実!)コンパクトに伝えてくれる。現在の世界の医療のあり方、マクロに紹介本。保険のシステムの話は多い。しかし、副題のイノベーションはあまりテーマになっていない気がするし、そもそも「危機」が明確でないかも。2018/09/25