内容説明
イエズス会宣教師ルイス・フロイス(一五三二‐九七)は,三十五年間日本での布教に努め,長崎で没した.その間当時の日本の社会を細かく観察し,ヨーロッパのそれと比較・対照して記録した.筆は,衣食住,宗教生活,武器から演劇,歌謡等多方面におよぶ.貴重な史料であるだけでなく,現代の我々に様々な問題をよびさまさずにはおかない.
目次
目 次
解 題
第一章 男性の風貌と衣服に関すること
第二章 女性とその風貌、風習について
第三章 児童およびその風俗について
第四章 坊主ならびにその風習に関すること
第五章 寺院、聖像およびその宗教の信仰に関すること
第六章 日本人の食事と飲酒の仕方
第七章 日本人の攻撃用および防禦用武器について──付戦争
第八章 馬に関すること
第九章 病気、医者および薬について
第十章 日本人の書法、その書物、紙、インクおよび手紙について
第十一章 家屋、建築、庭園および果実について
第十二章 船とその慣習、道具について
第十三章 日本の劇、喜劇、舞踊、歌および楽器について
第十四章 前記の章でよくまとめられなかった異風で、特殊な事どもについて
あとがき
岩波文庫あとがき……(高瀬弘一郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
33
ルイスフロイスによる日本とヨーロッパとの比較。現代日本においてなくなった風習と続いている風習が見られて興味深い。また、当時のヨーロッパの風習も特徴がよくわかる。仏教批判が様々な点に及ぶ。2016/11/29
AN
28
以前海外から来た方に「日本人の特徴は?」と聞かれて「大きく分けると東と西で異なる。さらに言えば北と南も異なる」と答えた。「そうは言っても何か日本人ならでの特徴はあるでしょう」と粘ってきたので「日本人は英語が得意ではない」と答えたのだが、とかく海外から来た人は「日本人の特徴」に興味があるようだ。この本は16世紀に書かれた「日本人を一部だけ見て全体をひっくるめたざっくり日本人論」の発端と言えよう。ヨーロッパと日本の比較という大胆なものだが、現代では計り知れない16世紀の日本が垣間見れるのが貴重な一冊。2022/10/03
rigmarole
27
印象度A-。店頭でのセレンディピティで購入。先に読了した『良寛道人遺稿』と比べて訳注が格段に良かったです。平易な訳に、豊富な史料に基づく丁寧で読者フレンドリーな補注。本文には誇張も多くかなりのバイアスもあるものの、当時の状況を考えるとかなり客観的な記述だと思われます。本書の主旨であるヨーロッパと日本の間の文化風習比較も興味深いですが、それ以上に、それぞれの歴史の勉強になります。なるほどと思ったり、笑わせてもらったり、意外だったり、「そこに注目してもらえたか」と膝を打ったり、とにかく愉しませてもらいました。2022/12/31
ヒデミン@もも
27
①大学図書館2017/07/13
棕櫚木庵
26
ヨーロッパと日本の違いを「われわれは○○だが,日本人は□□だ」という断章形式で14章にわたり650余条列挙したもの.日本を見下しもせず,逆に西洋への当てつけめいた(?)賛美もせず,ただ,その違いに驚き,面白がったているような姿勢が好ましい.対比を強調するために極端すぎる言い方をしたり誤解もある様子だけど,まぁ,それも御愛嬌と言えるような雰囲気の本.さらに,安土・桃山時代の日本は,現代とはもちろん,江戸時代ともまた違っていることに気付かされる.詳しい訳注,訳書で加えられた豊富な図版も日本関係が中心.→2022/02/18
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