内容説明
「神狩り」以来42年ぶりにデビュー作で星雲賞を受賞した表題作をはじめ、オタク文化と暴走する奇想が脳を揺さぶるSF、全3篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
187
おもしろかった!表紙からは想像ができないくらい壮大なスケールのハードSFとサブカルとスプラッターと百合がごちゃまぜになった中編3本立て。アイドル、ガチャ、声優などの要素を交えながらも、時間と空間、進化と生命、宇宙とエネルギーといったテーマを織り交ぜ、しかもそれらを長ったらしく説明くさくならないように軽快なテンポの物語にまとめるのは豊富な知識とセンスと技術の賜物だろう。現代日本だからこそ生まれたSFであり、その意味では時代性もあるのかもしれない。まあ、クセが強いから読む人を選ぶ本ではあるけど、好き。2018/10/23
なっぱaaua
99
凄い。思わず「表紙で騙されてはいけない。SFだよ、凄~ぇSFだよ、超馬鹿SFだよ」とSNSで呟いてしまいました。3つの短編。SF、科学、宇宙、アイドル、ソシャゲ、けもフレ、まどマギ、声優のごった煮。「わけがわからないよ」となりながらもスピード感があり読ませること。いつも物語を読むときに姿かたちを想像して読むのですが、この3作品は想像しきれなかったし、想像したとしても相当えげつないモノになってしまって、気持ち悪さに苦笑いするしかありませんでした。新人作家さんという事ですが、次は一体何をどの様に書くのだろう。2018/04/14
藤月はな(灯れ松明の火)
90
「愛すべきオタク文化 meets 壮大なガチガチハードSF」という奇跡の融合が生み出すは、脳内麻薬大放出!女の子なのに容赦のない臓物ビシャビシャと人権無視なグロと搾取描写!そして百合ひゃっほい!真逆、表題作が「ラブライブ!」の同人誌だったなんて。読んだ後でこのポップな表紙を見てみると悲鳴と笑いがこみ上げて仕方がありません・・・(笑)「エボリューションがーるず」は一人の願いによる「進化による運命性」を無にする世界再創造よりも課金廃に導く期間イベントやガチャの悪質さの方が恐ろしいな。2018/03/26
MICK KICHI
62
表題作と「暗黒声優」が星雲賞受賞作。SNS、ソシャゲ、アイドル、声優とオタクワールド全開の題材に、ハードSFを絡ませる展開に圧倒される。ロリとか百合を予想するといきなり奈落の底に突き落とされるので注意。グチャグチャ感覚は本質的に苦手なのに、良くぞ読ませてくれました。ストーリーと設定の吸引力は半端じゃなかった…。リアルにSNSして、ソシャゲして、アニメ観る立場としては、アグっと刺されるネタ満載なのがイタタタッでしたね。リアル「エヴォがる」プレイ希望….しないな。古代生物キモイわ。2020/07/05
よっち
62
会いに来る新世代のアイドルを描いた「最後にして最初のアイドル」ガチャに取り憑かれたフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」異能の声優たちが銀河を大暴れする「暗黒声優」の三編が収録された作品集。何か凄いらしい…とは聞いてましたが、オタクの心を掴むキーワードのはずが全く別の何かに成り果てていて、一方でSFとしては壮大なスケールの物語だったりで、そんなギャップがこの本を読む前提としてあるために、その強烈なインパクトをどう評価すればいいのかちょっとよく分からなくなった一冊でした(苦笑)2018/02/16