内容説明
人間が神の知恵と愛に与るとはいかなることか──。近代日本のカトリシズムを代表する司祭・岩下壮一が、豊かな学殖と明晰さでキリスト教の真理を闡明した記念碑的名著。公教要理(カテキズム)の概説書としていまだ類例がないだけでなく、深遠で難解な神学は本書により日常の信仰の糧へと一変した。時に表出するプロテスタンティズムや近代哲学への峻烈な批判は、人間精神を主観性の牢獄から解放し、再び霊的実在へ開かんとする著者生涯の意図から発しており、それは神の恩寵の賜物=カトリックの信仰においてこそ実現すると説く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
54
カトリックの信仰の精髄が論じられていて興味深く読めました。明治生まれの著者のため、ここで書かれているのは当然の如く今現在の第二バチカン公会議以前のカトリック。そのせいかプロテスタントに対する目には厳しいものを感じました。カテキズムを重視し、プロテスタンティズムや近代哲学を鮮烈に批判し、精神を霊的実存へ解放しようとする意図が伺えます。神の恩寵としての賜物がカトリック信仰という信仰論こそがカトリック信徒として神の恵みに与るという考えの軸なのだと思いました。2016/05/08
優希
41
再読です。カトリック信仰の真理が解明されており、興味深い書物です。近代日本のカトリシズムにおけるキリスト教のカテキズムの概要ですが、ここで論じられているのはバチカン会議以前のカテキズムになります。そのせいか、プロテスタントに対しては批判的に見ている感は拭えませんでした。おそらく精神を霊的実存へと昇華させようとしているからでしょう。神の恩寵としての賜物がカトリック信仰であり、この信仰論がカトリック信徒として神の恵みに通じるものがあるのだと思わされました。2024/05/07
Koning
30
戦前のカトリック司祭の書いた公教要理解説というかプロテスタントとの対比によってカトリックの信仰はどういったものなのか?というのを書いた本(講談社学術文庫でかつて出ていたものを解説を改めて収録という体裁)。で、何しろ明治生まれの著者ですし、当然のことながら第二バチカン公会議でガラっと変わったカトリックではなくその前のカトリック。ゆえにプロテスタント神学者へのツッコミは容赦ない。そんな中で徹底的に叩いてはいるけれど無教会主義へ一目おく感じというか、その辺は田川が遠藤周作をがっつり批判しているのを彷彿と(続2016/01/22
きっぺい
0
岩下壮一神父による公教要理の解説。 「宗教とは何か」から始まり、カトリック教会の神論、天使論、人間論、キリスト論、教会論を講義形式で解説。なぜカトリックが正統とされるのか、異端、謬説とは何かがはっきりと示される。特にプロテスタンティズムを最大異端とみなし、彼らの論拠の矛盾を提示する。神学的土壌の貧弱な日本において、このような貴重な本が復刊されたことは素晴らしい。2020/05/02
R
0
神への信心を理解できなかった人々によって,イエスは殺害された。イエスにより伝えられた正しい教えを継承していたペトロも迫害された。キリスト教成立時の悲しい歴史は,正しい教えは正しく継承された者たちによってのみ継承されるという教会中心主義を成立させる。プロテスタントによる聖書により神への信心というテーゼ成立させられるはずがない。イエスの直接の教えすら当時の人々は理解できなかったのであるから。正しく伝えられたカトリックこそ正統なキリスト教であるという強い信仰が著者を支えている。2020/03/31
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