創元推理文庫<br> 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選

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創元推理文庫
流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選

  • ISBN:9784488485115

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内容説明

三度笠を被り長い楊枝をくわえた姿で、無宿渡世の旅を続ける木枯し紋次郎。己の腕だけを頼りに、人との関わりを避けて孤独に生きる紋次郎だが、否応なしに旅先で事件に巻き込まれてゆく。兄弟分の身代わりとして島送りになった紋次郎が、ある噂を聞きつけ島抜けして事の真相を追う「赦免花は散った」。瀕死の老商人の依頼で家出した息子を捜す「流れ舟は帰らず」。脱走した女郎たちとの逃避行の意外な顛末を綴る「笛が流れた雁坂峠」。ミステリと時代小説、両ジャンルにおける名手が描く、凄腕の旅人にして名探偵が活躍する珠玉の10編を収録。【収録作】「赦免花は散った」「流れ舟は帰らず」「女人講の闇を裂く」「大江戸の夜を走れ」「笛が流れた雁坂峠」「霧雨に二度哭いた」「鬼が一匹関わった」「旅立ちは三日後に」「桜が隠す嘘二つ」「明日も無宿の次男坊」/編者解説=末國善己

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

goro@the_booby

51
素晴らしい!!!まさに傑作選でした。木枯らし紋次郎の物語に通底するのはミステリーなのだと改めて思う。当てのない旅をするしかない無宿人、関わりになりたくないのに火の粉は払わなければ生きていけない。中でも親分衆の前で身の潔白を証明する「桜が隠す嘘二つ」と哀しい父娘はどこに行く「鬼が一匹関わった」など心に残るが本当にどれもこれも粒ぞろいの短編集。「あっしには言い訳なんぞござんせん」と俺も言ってみたい。流れ舟は元には帰れない紋次郎の旅はどこまでも続くのだろう。2025/02/04

つみれ

42
主人公はアンチヒーロー属性がたっぷり詰め込まれた「渡世人」木枯し紋次郎。いわゆる股旅ものの短編集で、江戸時代後期のアウトローの世界を様々な角度から描いてみせている。やり方は非合法ながらも最後は悪に鉄槌をくだす彼の生き様、美学は、ただひたすらにクールでカッコいい。ミステリーと銘打ってある通り、物語は各編ひねりがきいており、素直に読ませてくれない意地の悪さがいい。物語に五つの制約を持たせたという話が解説にあったが、この制約が物語、キャラクターの魅力をうまく引き出している。時代物+ミステリーの妙を味わえる一冊。2018/12/16

くさてる

30
木枯し紋次郎初体験。ドラマは世代的に未見なのですが、中村敦夫の顔と爪楊枝くらいの印象はありました。しかしそれとはまったく関係なく面白かった。渡世人が生きる世界観がみごとに構築されていて、時代小説に慣れない私にも違和感なく読みこむことができ、人物造形もパターンなようでそれぞれに個性がある、なおかつお話が巧みで文章が流れるように読みやすいと何拍子揃ってるのこれ。切な目の話として「明日も無宿の次男坊」のラストがたまらなくせつない。良かったです。2020/11/18

geshi

30
股旅ものの代表の木枯し紋次郎がミステリ?と思っていたけれど、これは面白い。時代物なのにカタカナ語入っていてエンタメ作品として抜群に読みやすいから、人気が出たのも頷ける。渡世人と探偵の共通点は共同体(グループ)から意識して外れ、情やしがらみを捨ててから存在が成り立つハードボイルドな生き様にあった。どんでん返し展開が人を信じれば裏切られる無情を強く印象付ける。陰謀、暗号、サスペンス、変形の法廷劇、作品ごとに変化をつけて読者を飽きさせない名人芸。2018/05/12

タカギ

25
木枯らし紋次郎は時代劇のヒーローで、笹沢左保はサスペンスドラマの原作者、というイメージだった。木枯らし紋次郎を生み出したのが笹沢氏だったとは。時代小説×本格推理小説が10編。どちらからしても極上だと思います。紋次郎の生き方には苦しさ、哀しさを感じた。泳いでいないと死んでしまう魚のように、目的のない旅、旅のための旅を続けている。紋次郎は凄腕の剣豪なので、殺陣の場面はとても映像的でカッコいい。カバーイラストもいいけれど、オノ・ナツメさんや斉藤岬さんに紋次郎を描いてほしい。2018/02/27

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