内容説明
終戦直後、占領下の沖縄で、初めて堂々と米軍にモノを言った伝説の男・瀬長亀次郎。「地球の裏側から来たアメリカは、ぬするれいびんど……泥棒だ!」演説会には10万人を超える人々が集まり、熱狂する。ついに米軍は微罪で亀次郎を逮捕、宮古島の監獄に送るが、奇跡的に生還、那覇市長に当選。市長の任期はわずか1年で終わったが、70年には衆議院議員に当選。佐藤栄作首相とド迫力の論戦を繰り広げた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん👶柳緑花紅
100
ニュースキャスターでよく知られる佐古忠彦さん。ニュースに携わり沖縄の取材を続けながら問題の全体像を伝えきれているだろうか。もどかしさを感じ戦後史の主人公である沖縄の人等に鮮烈な記憶を残すカメジローを通して歴史を伝えたいとの思いが作品のきっかけという。沖縄の戦後はまだ続いている。返還を望み願いは叶えられたかに思えたが望む返還とは大きく異なる。それでも真の民主主義を求め闘いを続けたカメジローの生涯。母の教え。妻もまだ不屈の精神を持ち共に闘った。精神は根強く引き継がれてはいるが、未だに負の遺産を背負う沖縄。2022/08/28
kinkin
84
沖縄、行ったこともないし太平洋戦争の悲惨な状況も本や映像で知っているぐらいで基地問題となると、現在の普天間基地移設のニュースや辺野古のニュースが聞こえてくるぐらい。それだけ沖縄のことは知らない知ろうともしなかった。日本の政治やアメリカ軍との密約みたいなのがあったのだろう。アメリカの統治下で毅然とした態度で臨んでいた瀬長亀次郎氏のことをすこしだけ知ることが出来ました。現代の政治家は政治家ではなく政治屋という言葉を何処かで聞いた。こんな気骨のある政治家、今の日本にいないね。ネーネーズの歌、検索してみます。 2024/03/04
panashe
29
直木賞作品【宝島】でレイが投獄中に出会った沖縄の英雄"瀬長亀次郎"。実在の人物と知りどんな方だったのか興味を持った。お恥ずかしながら存在も知らなかったし、映画化されていたのも最近知った。この本の著者、佐古忠彦氏は、局アナの顔しか知らなかったが、news23で永年携わった筑紫哲也氏の「沖縄に行けば日本が見える。この国の矛盾が詰まっているんだ」の言葉に突き動かされ沖縄に通ったそうだ。未だ解決しない沖縄問題。同じ日本人としてあまりに無関心すぎたと心が痛い。2019/07/07
はる
25
戦後の沖縄で、米軍の弾圧に負けずに不屈の精神で頑張っていた人だった。那覇市長になってからの米軍の嫌がらせは本当に腹ただしく、2度も市長不信任案可決となって去るときに、勝ったと亀次郎が記したのはすごい。その通りで、米軍は正面から堂々と市長を退かすことはできずに、亀次郎が去ったことでさらに市民は熱狂した。言葉が魅力的で演説で訴える言葉はとても響き、市民に寄り添う人だった。その後は国会で奮闘している。今でも故翁長知事のように瀬長に続く政治家がおり、戦後の沖縄を支えたひとだと思った。2019/09/01
本好きです
14
少し前に読み終わったが、どう感想を書こうか考えていた。反骨の政治家。自分の体を張り命を削って、強い支配の中で苦しむ市民のために戦い続けた。自分や家族のことは後回し、一貫して、抑圧・搾取・暴力に踏み躙られ続ける市民のために何度も痛めつけられながらも立ち上がり声を上げる人だった。人間として当たり前のささやかな静かで平和な生活をしたいだけである。それさえも蹂躙される。米軍と日本政府によって。今も変わらない日本政府と米軍は沖縄の人権を蹂躙しつづけている。そして基地反対派市民を抑圧に1日2千万もの税金を投入し続ける2018/11/29