内容説明
▼漱石作品のなかには、謎の外国語、そして外国作品の引用句がちりばめられている。本書では、遺された蔵書を丹念に調べ上げることで、それらの出所を突き止め、漱石がどのように外国語の本を読み、作品のなかに取り込んでいったのかを明らかにする。
▼とりわけ、ピーコック、ブラウニング、シェンキェヴィチ、ウィリアム・シャープなどの典拠を手がかりに漱石作品を読み解き、〈東洋と西洋〉、〈影響と受容〉という二項対立を超えた、その〈現代性〉をさぐりあてていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
5
漱石は学んだ英文学からいかに作品を生み出したか。漱石の残した蔵書三千冊は研究者としては多過ぎはしないが貴重なもの。東大へ寄贈の予定だったが条件が合わず東北大に贈られたという。処女作「吾輩は猫である」以来、多くの英文学作品が著作のなかに取り込まれた。ピーコック、ブラウニングなど、遺された蔵書をヒントに作品を読みといていく姿勢は、ミステリーファンも羨む。「三四郎」で美禰子が放ったストレイシープという一言。ブラウニングが「炉辺にて」と似た状況で、美禰子は三四郎にストレイシープと言う。蔵書には漱石の手掛りが潜む。2018/04/07
Shun'ichiro AKIKUSA
3
勉強になった。前作も読んでみたい。2018/01/20