内容説明
えびの天ぷらでうまいのは尻っぽ、鮭は頭、牛は舌。釣った岩魚の臓物を洗って串にさし、川べりで見つけた小さな山椒魚を丸飲みし……。詩作のかたわら居酒屋を開き、自ら酒の肴を調理してきた著者による、野性味あふれる異色の食随筆。挿画・牧野伊三夫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更夜
9
詩人、草野心平さんの食べ物に関するエッセイですが、とにかくワイルド。さんまは頭、骨、尻尾まで丸ごと、エビフライは尻尾まで食べる、尻尾を残す人がいると、それ下さいと言いそうになる。詩人だけでは生活できず、居酒屋「火の車」という店をやり料理もやられていた草野さんならではの独特の食のこだわりが興味深い。一番面白かったのは、山菜、野草のレシピ集「酒菜のうた」くちなしのつぼみの二杯酢、野の花をつんできてサンドイッチにして食べる。ちょっとした味噌の使い方・・・気取ることを嫌悪する武骨な無頼派な一面も垣間見られます。2018/10/12
niz001
8
初草野心平さん。酒の肴というか、B級グルメというか、ゲテ食というか、正統派の料理じゃないのが多くてイイ感じ。蟹が可愛い。高山なおみさん、がん漬け知らないんや。2017/11/27
uchiyama
1
本物の食べ物しか出てこない、という感じがしました。(かといって、今の、「本物じゃない」食べ物が悪いとは思いませんが。)2020/08/29
風斗碧
1
野の草や花びらの調理などはちょっと面白かったが、 途中「わが酒」からが草野節だ。 酔いに任せて縦横無尽、今で言えばヒンシュクのものの行動ばかりだが、 文字で読んでいる分には十二分に楽しい。 酔って自分の家が分からなくなっておまわりさんに案内して貰ったり、 お母さんが亡くなった葬式の場で万歳三唱してみたり、 飼っていた犬やネコの話から、食べる為に集めた沢蟹に同情して切なくなってしまう所とか、 酔うことも笑うことも泣くことも怒ることも、 生き方が全部まるっと詩人で愛嬌があるのだ。2020/07/29
あこ
1
酸辣湯麺の元が分かってびっくり。中国の食の歴史って壮絶なのだな。読みつつ、いつ頃の話なのか発行年を見てビックリ!そしてこの本に出てきた居酒屋さん(地元だった)がまだ存在していてさらにビックリ!食わず嫌いのわたしには、到底真似出来ないことばかり。2019/02/28