内容説明
なんでも器用にこなす栄二と、お人よしだが愚鈍なさぶ。二人は幼いころから仲良しで、いつも栄二はさぶの兄貴分だった。だが、無実の罪で栄二が石川島に流されたことをきっかけに、その関係性に陰りが見え始める。自分は陥れられた、ここを出たら復讐してやろうと世間を恨んでばかりいる栄二は、島の罪人とも口を利かず、会いに来たさぶのことも冷たく突き放した。しかし、大あらしから島を守るための防波堤を作る作業中、栄二はうっかり足をすべらせて生き埋めとなってしまう。普段は冷たく接していた罪人たちが、どうしてこんな自分のために危険も顧みず、躍起になって助けようとしてくれるのか。徐々に心を開いていく栄二だったが――。1人の男が精神的な成長を遂げる感動物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kumax
1
「金襴の切」事件で人足寄場に送り込まれた栄二。そこで多くの人とのふれあいで成長していく過程が実に面白い。また、この物語が現代人の人間的成長を表現したものとも言え、併せて自分自身がどれだけ人間的に成長しているかを照らし合わせる意味でも非常に読み応えがある作品だった。2019/04/21
山田
0
人足寄場の役所詰元締役の岡安喜兵衛が、自身の受けた不条理に怒る栄二にかけた言葉「運不運などということは、泣き言めいているし、うんざりするほど聞き飽きた言葉だ、だが、運不運ということはあるのだ。」「おまえは気がつかなくとも、この爽やかな風にはもくせいの香が匂っている。」は、歳をとらないと(苦労しないと)出ない言葉だな。私もようやく分かるようになってきた気がする。/人生は能力に限界があったり要領の悪い人にとっては、社会より人足寄場の方が居心地が良いことがあるのは、江戸時代も今も変わらないかもしれない。2025/11/17
アガル
0
心が揺さぶられる。 ①良いことも悪いこともあるけど、そこから何を学ぶかが大事。②人は一人では生きられない、気づかぬ誰かに助けられて生きている、それに気づいて感謝を伝えられるか。③赦すことの大事さ、憎しみからは何も生まれないということ。 この3つがこの本を読んで心に残ったこと。2025/01/05
ロシアンブルー1
0
「おれは思うんだども」 訥々としぼるように語られる言葉は口下手なさぶの心の内の全てを表せてはいない。でもいつの間にか、「さぶ、話を続けて」「栄二、ゆっくりさぶのはなしを聴いて」と山本周五郎の思う壺になっている。ウン十年ぶりに山本周五郎にやられた。2024/02/18
なっつ
0
やっと読みました。うんうん。友情のお話
-
- 電子書籍
- 恋せよキモノ乙女 分冊版第82巻 バン…
-
- 電子書籍
- 煤まみれの騎士【分冊版】 18 電撃コ…
-
- 電子書籍
- 医師が教える新型コロナワクチンの正体2…
-
- 電子書籍
- レベル1から始まる召喚無双 第4話【単…
-
- 電子書籍
- 男爵様の強引な求婚-大正身代わり婚姻譚…




