講談社文庫<br> パノララ

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講談社文庫
パノララ

  • 著者名:柴崎友香【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 講談社(2018/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062938433

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内容説明

友人のイチローに誘われて、コンクリート三階建て・木造二階建てと並ぶ鉄骨ガレージ上の赤い小屋を間借りすることになったわたし。ヘンテコな家で個性派揃いの彼の一家と生活し始めたある日、イチローから「たまに同じ一日が二度繰り返される」と打ち明けられる──芥川賞作家が描く未体験パノラマワールド!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

312
主人公の(物語の語り手でもある)田中さんが借りることになった部屋は、立地こそ抜群にいいのだが(S駅との記載だが、下北沢がモデルであると思われる)、建築法を度外視したツギハギだらけの建物の一角で、その家にいるのはちょっと変わった人たちだった。田中さんは容姿も、才能も、その他あらゆる点で、いわゆる普通である。そんな田中さんが、この異世界でやがて自身が奇妙な体験をすることになる。基本的には田中さんの日常が描かれるのだが、そこに紛れ込む(時空がねじれるのだろうか)非日常を、あくまでも日常のレベルで描いてゆく⇒2025/01/04

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51
⭐️⭐️⭐️⭐️☆。面白いかどうかも分からないし、人にも勧めないし、なんで読んでいるのか分からない作家の一人。柴崎友香流ジュブナイル小説とでも呼ぶべきか。いつも裸なセクハラワイルド親父と壇蜜みたいな女優の母と超能力(?)三姉弟妹が住んでいる表紙の家に転がり込むように赤い家の部分に住む事になった主人公の話。読み応え充分で面白かった。この人の描く物語は益田ミリさんの漫画を読んでいる感覚と似ているかもしれない。日常とフィクションの境がグラデーションのような感じが故にリアル過ぎて退屈に感じてしまうのかもしれない。2018/02/21

ぱなま(さなぎ)

22
それはひと続きの風景みたいで、ところどころがいびつに繋がっていて、増改築を重ねた家みたいに。私だって同じ所を繰り返してくっつけて都合のいいように見せてるだけなのかもしれないのにこれは一本道なんだと言い聞かせていて、理想だからって一本道が正解なわけでもない。気づいたところで変わることの方が難しい。全体を引きで見てああだこうだこれはダメだとか分析するのは確かに賢くないとできない。でも、たまたま集まっただけの人たちが見えない作用をしあって醸す心地よい空気を、私は愛したいと思う。2018/04/05

ちぇけら

21
家族というのは不思議な関係性だ。ピンボケ写真がひとつの芸術となりうるように、家族も見かたによってさまざまな様相を見せる。好きや嫌いという感情とは、まったく別の次元。ゆるやかな繋がりと、ゆるやかな依存。それらが危ういバランスで保たれていて、いちど崩れると、日常は涙で滲んだようにゆがんでいく。ほんもののわたしは、パノラマ写真ではどう写るのだろう。「わたしはここではなくて、自分が行きたい場所に行きます」繰り返しの生活から、抜け出したいとねがう。人間関係は、ゆるやかな絶望なのだから。世界が、継ぎ目から綻んでいく。2021/07/16

蜜柑

21
主人公の私が、まさに自分のような性格、生き方で、本当はこう思っているのに言えなかったり、他の人が好き勝手に行動しているのを羨ましく思ったり。そして、映画のコミュニティでも、上手く言えない感じが自分を見ているかのようで共感の嵐だったけど、設定が難しくて、私以外の人の心理がよくわかんなかった。初めて読むこの感じ。不思議な本だった。2019/11/10

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