内容説明
小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが――。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taiko
32
あちこちで絶賛されていて初めて手にした山本周五郎作品。江戸時代、濡れ衣を着せられ人足寄場へ送られた表具職人の栄二。同じ店の糊職人のさぶは、くさりやけになっていた栄二をずっと待っていた。栄二の境遇を思うと、全てが嫌になるのもわかる。とは言えそこで出会った人たちと関わるうちに、一皮も二皮も剥け、大人になっていく。真犯人がわかった時には、正直びっくりしたけれど、それを栄二があっさり許せるだけ、寄場で過ごした3年は彼の大切な時間になっていたということ。ずっと印象が薄いさぶがタイトルなのも、最後妙に納得。 →続く2024/11/22
雲國斎
21
山本作品のなかでも人気の一冊だそうだが、確かにとても読みやすく、引き込まれた。ぬれぎぬを着せられて、いっとき復讐心に凝り固まり狂犬のようにとがっていた栄二が寄場の仲間との日々で少しずつまっとうな人間の心持ちを回復していく。そして常に彼を見守りはげまし続けてくれるさぶやおすえ、おのぶなど…いやぁ、いい小説読んだわ!2019/07/17
かな
11
瀬尾まいこさんの「図書館の神様」の作中に出てきて興味が湧き、初めて山本周五郎作品を読了。 読んで良かった。。。とても感動した。 才気煥発な栄二と愚直なさぶ。話は栄二の成長物語なのにタイトルは登場シーンの少ない“さぶ”。「図書館の神様」でもそれに疑問を抱くくだりが。栄二の才能もさぶが居るからこそ発揮できるもの、自分一人で生きていると思い上がるなよ、どんな人間も独りじゃ生きられないんだよ、という作者のメッセージがタイトルに込められているんじゃないかな、と感じた。2022/04/17
路地裏のオヤジ
9
高校時代に読んだ本が懐かしく、思わず図書館で借りた。あの時と違った感銘を受けた。2018/08/16
もとむ
6
とにかく感動しました!僕も若い頃、栄二のように尖ってたな…と思うシーンがいっぱいあって、周りの優しさにどれだけ支えてられてきたことかと…泣けましたね😭 特にラストは号泣でした! 是非多くの方々にも読んで頂きたいです! 2024/02/18
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