僕は穴の空いた服を着て。

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僕は穴の空いた服を着て。

  • 著者名:菅野彰【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 河出書房新社(2019/01発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309024554

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内容説明

幼い頃亡くなった父への思いに囚われ続ける幸也は、恋人と新しい「家族」を作ることに怯え、混乱していた。その父への暗い思いに重なるような姉の死の謎を追ううちに、辿り着いた真相は……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

扉のこちら側

92
2016年208冊め。もう20年近く私の好きな作家の上位にあり続ける菅野彰。自死という重いテーマに、それでもまた胸を撃ち抜かれてしまった。こちらは既に絶版の著者の戯曲「朝彦と夜彦」と同じ主題の話であり、作中には似た台詞、似た表現が使われている。(「朝彦と夜彦」は発表から12年が経つ2015年秋に念願の初演。観に行けなかったことが悔やまれる。)幸也の父のような人や、幸也や佳織のような立場の人たちに深く関わる私の仕事柄、これは何度も再読しなければならない、忘れてはならない物語だ。(続2016/03/24

たまこ

24
あるときから「普通」に生きられなくなった主人公の出口がないかのように見えた苦悩を息を詰めて見守り、最後には読んだ私自身も開放されたかのような安堵と感謝の気持ちに包まれました。長く続いた主人公の緊張が氷解し景色が変わる瞬間、見たかかったものはこれだと思う。人はこんなふうに乗り越えられる、生きていけると自分自身も優しく背中を押されたようで、心からありがとうと言いたくなるような。本作とテーマが同じとされる朗読劇「朝彦と夜彦1987」を観たときとよく似た余韻。嵐と嵐の後の光。後を引く興奮と温かさ。読めてよかった。2016/04/06

nono

21
図書館本。作者様のBLはよく読みますが、これは非BL。家族の自死に囚われた幸也の心の葛藤は誰にも解消される筈も無く、新たな人間関係を結ぶのにも躊躇われて、読んでて辛いものがありました。姉の事件の顛末は都合が良すぎる感もありますが、それによって前に進める事は幸いです。「頑張って」の高校生に思わず涙でした。前を向いて進まなきゃね!良い読後感の一冊でした。2016/06/19

だろうぇい

20
「服に空いた小さな穴」を隠すためにいつもきれいに身繕いし、周囲と距離をとろうとする主人公。彼が背負わされたものは重く、消えることは永遠にない。だが周囲(特に幼なじみが魅力的)の助けを得て迷いながらも「穴」に直面しようとする姿は真摯で、「これからを生きる話」を彼ができるようになるという希望をもって読むことができた。台詞の1つ1つに力があり、舞台や映画にも映える作品だと思う。地の文も含め、使われる言葉は平易だがどれもが繊細でよく選ばれていて読んでいて気持ちがよい。桜を見ながらゆっくり反芻したい作品。2016/04/05

16
幼い頃に父が自殺をした..その事に心を囚われてしまった幸也。時が経ったある日、突然、姉が謎の死を遂げてしまう。姉の死の原因は、父と同じように自殺なのか..幸也は真実を求め、彷徨い巡る..。どういう意味なんだろう?ってタイトルが気になり借りました。自殺で家族を亡くした自死遺族の生活やその人達の心情を知り、それを考えると苦しくなります。後半は秋田県の角館町が舞台となり、満開の枝垂れ桜、武家屋敷の建ち並ぶ街並みが登場し、この街の風情が伝わります。角館に行ってみたいですね。2016/08/24

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