内容説明
ピアニストの夢を絶たれ、ピアノ教室を開いた敬。しかし、生徒はサッカーと昆虫が大好きな双子男児や芸人志望の女の子など、音楽に興味のない子供ばかり。没落した天才ピアニストは、生徒たちを音楽に導けるのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瀧ながれ
31
ピアノを弾く人、である主人公が、それ以外のすべてができなくて困ったさんなのに、おっとりとしながらも一本筋が通った性格のためか、憎めない、いやむしろこの生活無能力さに愛嬌がある。ピアノ教室を開き、厄介な生徒たちになんとかしてピアノを好きになってもらおうと、いろんな工夫をする真面目さもいい。ピアノ曲の描写も心地よく、それぞれの人による個性がきちんと伝わる。主人公が弾くベートーベンが聴きたいのはもちろんだけど、ラストで奏でられた、天から金色の花が降るようなメンデルスゾーンの「春の歌」に、とても心がふるえました。2019/04/16
フキノトウ
22
父が亡くなり、師匠も亡くなりピアノの先生を始めることになった敬。生活力の無さ、ピアノ以外には鈍感で拘らないゆるい性格なのが読みやすかった。やんちゃな双子の兄弟の話も良かったけれど、お笑い芸人を目指す女の子のお話が好きでした。続編あればいいな。2018/03/27
み
21
何となく手にした作品、初読みの作家さん。さくさくと♪鈍感力の高さにはクスっ、なのに素敵な先生です。世界一の弟子数に至るお話しが読めるのかなぁ?生活費が心配だ(^^;2018/05/03
よっしー
20
タイトルが気になって手に取りました。ピアニストとしての道が周囲の環境によって絶たれ、ピアノ教室を始めるも、生徒は来ず、そもそもの生活能力すら無かった。ピアノの腕を考えたら、問題児ばかりの生徒は切り捨てても良い筈ですが、きちんと一人ひとりに向き合い、ピアノの楽しさを伝えていく。本当にピアノが好きでそれを他の人にも知って貰いたいからこそ、出来るのでしょうね。やや読みにくいと感じる部分もありましたが、良いお話でした。2023/01/01
しぇん
11
あと少しでピアニストとして成功する所まで来ていたのに、父親お師匠が亡くなってしまい道が閉ざされてしまった所から始まる物語。お坊ちゃん育ちだった上ピアノの事しかやってこなかった主人公がピアノ教室を開こうとするところから始まりますがら現代日本でそれで中々生活できるはずもなく…と。こんな状況なのにのんびりしている主人公は大物だなと。そして現れる訳ありの生徒達との関係がこの優しい物語りの一番の魅力なんだろうなと。まだいつ餓死してもおかしくない状況の中、世界一多くの弟子を持つ未来図が描かれる続刊も読んでみたいです2018/01/21