内容説明
「ムラセアズサを預かっている。これはイタズラではなく、正真正銘の営利誘拐だ」村瀬梓が勤めるコールセンターに掛かってきた犯行電話。身代金の要求額は1億円、輸送役は100人の警官。なぜ、家族ではなく会社。なぜ、1億円。なぜ、100人も必要なのか。警察と“関係者”たちは、ピュワイトを名乗る犯人に翻弄されていく。「罪」に期限はあるのか――乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く、受賞後第一作、大藪賞候補の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
96
めっちゃ面白かった!やっぱり呉さんは最高です。すみません、酔っ払ってますw2019/12/15
あも
94
乱歩賞作家が対決する「RANPOの乱」という企画の対象本。地下アイドルが誘拐され、事務所社長と、被害者がバイトをしていた通販コールセンターに脅迫の電話が。警察への要求は100人の捜査員に100万ずつを日本全国に運ばせるという前代未聞の物。前述の社長とコールセンター職員、捜査一課の主任、現場の刑事など複数視点で事件は収束に向っていく。600頁超を読ませる力はあったし、ラストも納得のいく決着と余韻の残る良いエピローグだったが、夢中になれる程ではなかった。人の命を奪っておいて贖罪など結局不可能なのかもしれない。2018/06/11
bibi
52
新型コロナのニュースに振り回され、読書に集中できないこの頃。600ページを超える長編。身代金1億円を要求する誘拐事件。しかも、有名人でもない一人の女性の誘拐や百人の警察官に百万円ずつ運ばせろ。今までにない展開で、興味を持てる登場人物。じっくり没頭して読みたかったなぁ。2020/03/10
しーちゃん
48
序盤から度肝を抜く。コールセンターにかかってきた誘拐の脅迫電話。身代金は1億円。それを百人の警官にひとり百万ずつ持たせろと。誘拐された女性はアルバイトで天涯孤独。果たして1億の価値があるのか、犯人の目的は。捜査官、コールセンターの責任者、謎の芸能事務所の社長と、目まぐるしく語り手と場面が変わるが、女性の背景が徐々に明らかになるにつれ、壮大な復讐劇だと気がつく。主要人物の過去も重く辛い。暴力の応酬では何も解決しない。赦すことができるのもまた、人間だから、なのかもしれない。読み終わり、ため息が出た。 2024/07/10
白湯
39
献本での頂き本。事件発生からとにかく謎めいていて、テンポが良く「ん?」と疑問が浮かぶもお話の勢いにドドッと流されて一気に読了。さすが映像畑からの作者で、絵になりそうなシーンが多く盛り上げ上手。警察やコールセンターの描写はすごく面白かったです。この"白いミステリー"は贖罪がテーマって事になってるけど、復讐ばっか際だっていたような感じでその点は微妙かなぁ。そして投票企画『RANPOの乱』ですが(これで二冊頂いた)、先に読んだ"黒のミステリー”(叛徒)は(私的に)のど越しが悪かったため、本作へ一票。2018/03/15