内容説明
まだ科学的に存在が確認されていない未知の動物をアジアの辺境で探す。いるのかいないのか、それは現地で調べてみなければわからない。ベトナムの猿人「フイハイ」、奄美大島の妖怪「ケンモン」、アフガニスタンの凶獣「ペシャクパラング」。読みだすと止まらなくなる驚きと笑いと発見のエンタメ・ノンフィクション!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
64
用意周到な高野さんにしては珍しく、結構衝動的なUMA探しの旅3つ。こんなのいる訳無いだろ的な奴ではなく真面目に調査してるので、読んでるこちらもムー脳が活性化してしまい、「UFOってやっぱりいるんだな」と思ってしまう。しかし普通の人は思いつきで資料揃えて、アフガニスタンのカブールに行ったりしない。それもUMA探しに。そして陸路で国境越えて帰ってきたりもしない。UMAが狂犬病罹患生物ってのはかなり可能性高い気がする。2018/12/09
トムトム
48
謎の生物を探しに、まだ危険なアフガニスタンに行ってしまう。高野さん、すごいなぁ!仏教やキリスト教などの特定の宗教の人よりもアニミズム(精霊信仰)の人の方が優しいというのに、納得しました。アニミズムの人は功徳になる、お布施だから、天国に行けるから、いつか自分に返ってくるから、などの理由がなく優しい。「〇〇のために」優しくするのではなく、できるからするという何気なさ。私の周囲の科学と生き物が好きな人たちは、こういう人が多くて居心地が良い!2021/06/06
saga
46
短編、と言うべきか。ベトナム、奄美、アフガニスタンでのUMA探索が集積され、比較して読みながら楽しむ機会を与えてくれた。奄美のケンモンは『神に頼って走れ!』でその一端を読んでいたので、一粒で二度おいしいと言ったところか? 本書のカバーは、それを思うと笑ってしまう。9・11後のアフガニスタンと言えば命の危険が伴う場所だ。無事に帰国できたことは本書を読めば判るのだが、ホッとする。ペシャクパラングの考察もなかなか面白い。2015/12/04
ntahima
45
一言で要約すれば『平成版遠野物語』。著者のスタンスは文献主義者・柳田国男と幻視者・水木しげるの中間。前者なら現地まで出かけて自ら聞き取り調査をすることはなかったであろう。後者なら忽ち“未知との遭遇”を果たしていたかも知れない。一方の著者は思い立つやベトナム、奄美、アフガニスタンへと赴き、謎の未知動物の痕跡を求め現地人の間を飛び回る。冷静に考えれば実にバカバカしい。しかしそのバカバカしさが羨ましい。著者のような行動力はとてもないが故郷の山にツチノコやニホンオオカミを探しに行きたくなる。因みに生れは和歌山県。2014/06/14
デビっちん
32
じっくり時間をかけて入念な準備をしてから調査する方が、慌てふためくことは少なくなります。一方で、思い立ったが吉日、と行動することで思わぬ結果が得られることもあります。本書は後者のお話で、まだ科学的に存在が確認されていない、ベトナムの猿人フイハイ、奄美大島のケンモン、アフガニスタンのペシャクパラングを探しに行った旅行記です。準備不足による予想外の展開に振り回されますが、それこそが辺境の旅路に更なるスパイスとして濃い味つけとなっていた気がしました。読んでて、奄美大島に行ってみたくなりました。2017/08/08