内容説明
中国小説、なかでも怪異譚や笑話など庶民文学研究の第一人者が、多くの資料に目配りを利かせ、洒脱な筆さばきで歴史の表面に浮かび上がってこなかった知られざる裏面を独自の視点から鮮やかに掘り起こす。採りあげられる話題は、皇帝、彫青、にせ倭寇、流言、筆禍事件等と多彩で、特に仏教の僧侶、道教の張真人、宗教結社の問題は、現代中国にも密接に連なるテーマ性を兼ね備えている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
宦官、絵画怪談、刺青、惨刑、男女、男色…中国史の表には出てこない様々な話題を語って尽きることのない一冊。やはりこういう社会の裏面の闇に開く極彩色の花は興味深いなあ。澁澤龍彦や松田修を思い起こさせる。冒頭の天一坊的事件や宦官の専横からして面白く門外漢としては初めて教えられるものばかり。王朝末の絵画怪談の事など初めて知った。でお目当ての刺青や残酷刑も期待通り。史書から引かれた変遷や共通する部分に目を奪われる。中国史とは膨大な記録であり、記録の海の海図は本当にありがたい。自分の興味のある部分については特に。2018/08/29
アカツキ
10
偽皇族、中国史バージョン生類憐れみの令、暗愚な皇帝と宦官、刺青、惨刑あれこれなど、中国史ではあまり取り上げられない側面を取り上げて解説した本。もくじで気になっていた惨刑、刑罰の話は期待以上で嬉しい反面やや引いた。皮剥ぎ刑ってどうするんだろうと思っていたけれど、そうするんだ…。圧縮ミイラの章に出てきた黒沼健「秘境物語」が気になる。2025/06/25
さとうしん
7
中国の風俗習慣や民間信仰の研究で知られる著者による、近世中国の史談。偽皇族・刺青・駙馬と公主の悲惨な結婚生活・男色・宗教結社など話題は多岐にわたるが、中国人倭寇を「にせ倭寇」と断じているあたりは時代的な限界を感じる。研究の細分化によってこの手の史談も粗が目立つようになってきているのかもしれない。2017/09/21
六点
6
支那文学の大家による、支那史や支那文学の中に収められた余話を大成した学術的エッセイ集。「残酷」の発想が日支まったく異なっていたりするところに「ああ、ここらへんからネタをとっているんだな」とにやりとしてしまった。結構際どいネタも多いのであるが、全然下品にならぬところは深い学殖によるものであろうなあと思う。2018/04/01
見もの・読みもの日記
2
刺青・男色・残酷刑など「表向き」の中国史があまり扱わないテーマが真面目に詳しく取り上げられていて面白かった。古代から近代まで時代を自由に渡り歩くが、頻出するのは明代。しょうもない皇帝ばかりだが、群を抜いて問題児の正徳帝に関し、著者がどこか好意的なのが微笑ましい。2017/11/16
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