内容説明
異色の顔合わせによる「未公開対談」をお蔵出し!
明治維新で敗れたばかりに“賊軍”とされた歴史のアウトローたちをめぐる、仁義なき幕末史。「歴史の片隅に追いやられた敗者に惹かれる」と語る文太さん、いまも続く「薩長史観」にもの申す昭和史家・半藤氏が、お互い賊軍の子孫として意気投合。西郷という巨きな男の謎に挑む!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ただいま蔵書整理中の18歳女子大生そっくりおじさん・寺
81
ご存じ菅原文太が生前に半藤一利と行った幕末明治維新対談。ある程度のページ数にする為に活字が大きい。結果読みやすい1冊である。幕末ものを好んで読んでいる人には周知の話題が続くのだが、幕末に興味を持ち始めたばかりの方には良い次の扉かと思う。それにしても映画で広島やくざのイメージがある菅原文太が、東北の賊軍の地の出身とは意外である。この本は一貫した反薩長(&反岩倉具視)に加え、菅原文太の長谷川伸礼讚の側面がある。長谷川伸の『相楽総三とその同志』その他の作品が読みたくなる。ぼちぼち著作権が切れるのではないか?。2017/12/07
ポチ
64
其々の祖先が東軍だった、長岡藩の半藤一利さん、仙台藩の菅原文太さんが、勝者により作られた明治維新のあれこれを、対談しながら楽しく分かり易く解説しています。西郷さんの裏の顔も覗けますよ。活字が大きいのでスラスラ読了出来ました。2018/02/08
かっぱ
44
宮城県仙台市生まれ、早稲田大学中退、俳優・菅原文太と東京・向島生まれ、東京大学文学部卒、作家・半藤一利の幕末維新についての対談集。「ご一新」がいつの間にか「維新」と呼ばれるようになったとか、幕府軍討伐の勅命書は偽物とか、「明治維新」とは後から作られた勝者による歴史であることが分かる。「ええじゃないか」も西郷の陰謀?。この本を読むと西郷さんはかなり腹黒い男と思わざるを得ない。上野の西郷隆盛像を見る目が違ってくる。幕末の人斬り・田中新兵衛、岡田以蔵、中村半次郎、河上彦斎だが、岡田以外はほぼ人を斬っていない。2018/01/30
おさむ
36
菅原文太さんってインテリですね。あの歴史探偵半藤一利さんと幕末談義で対等に渡り合ってるくらい博学です。生前の2回の対談を本にまとめたもの。「俺に言わせると、あの時期は維新でも革命でもなく、陰謀に過ぎない。西郷、大久保、岩倉、桂も加わった大陰謀」こう言い切る菅原さん。「戦争で死ねば、国家が靖国に丁寧に祀ってあげますと言い、郷土と家の名誉になるよう頑張れと奉公社会を薩長が作った」こう指摘する半藤さん。戊辰戦争はしなくてもいい戦争だった。天皇制国家が始まるのは維新のかなり後。勤皇や王政復古は倒幕のための手段2017/12/15
春風
17
菅原文太氏と半藤一利氏の幕末対談。両者ともに、賊軍と呼ばれた旧幕府側の子孫だそう。故に薩長主導の新政府軍を官軍とは呼ばず、西軍と呼称する。菅原氏も独自に歴史研究と呼べるほどの活動をされておられるが、かといって難解な問題提起をするでもなく、読者がふと疑問に感じる事を代弁してくれている。そして、その回答に対し自身が見聞きした情報を開示したり、役者視点から「この歴史上の人物のこの行動は韜晦じゃないか?」という論を展開するなど非常に興味をそそられる対談となっていた。惜しむらくはこれが遺作の対談となってしまった事。2018/03/06
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