内容説明
高度経済成長とともに年を重ねた「団塊世代」。就職氷河期のため安定した雇用に恵まれなかった「団塊ジュニア」。そんな親子関係に今、想定外の長寿・未婚・介護などの家族リスクが襲いかかっている。両世代を代表する論客の二人が、私たちを取り巻く社会・経済的な現実と、対策について論じ合った。この時代を心豊かに生き抜くためのヒントが満載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
booklight
34
世代論に興味がある。団塊と団塊ジュニア世代は、親子世代なので、表裏一体だ。学生運動を肯定的にみて、なぜ闘争しないとけしかける上野に、思いもつかない風な雨宮。上の世代を見て下の世代は学習する。闘争など選択肢にさえないのに、気づいていない。学生運動から右翼、左翼、ウーマンリブ、フェニミズム、セクハラ、貧困、引きこもり、新興宗教まで、それぞれ率直に語られ皮膚感覚でざっくり理解できのがよかった。フリーター、引きこもり、自己責任のジュニア世代は、多数派でありながら社会的には無力。この先どうなっていくのだろうか。2019/09/07
踊る猫
23
良く言えば良識的で、悪く言えば微温的。ロスジェネの代表格とフェミニストに依る対談なのだけれど、貧乏に困って自己責任のプレッシャーの中自死を強いられるまで追い詰められたロスジェネと、老後が心配で仕方がない団塊の世代が相互に困り事を話し合い、そこから先をどうするかをはっきり提言出来ていない印象を受ける。あまりにも現実離れした主張をする責任を回避した誠実さ故と考えるか、それともそのあたり野心が足りないと見るか。第七章の議論、弱者の連帯についての話をもっと聞きたかった。誰もが「弱者」に転落する時代、道はあるはずだ2018/01/06
団塊シニア
21
正規雇用率、婚姻率、婚姻の安定性いずれも団塊世代のほうが恵まれてることは本書で指摘してるとうり間違いない、しかし長寿化で団塊世代の親の介護という問題を団塊世代が抱えて重くのしかかってることを忘れて欲しくないというのが団塊世代として率直な感想である。2018/09/24
hk
18
これはすこぶる示唆に満ちた一冊。団塊と団塊JR…2つの世代の女性の対談によって、世代間の軋轢などに迫っていく。 ”団塊世代は離婚率が極めて低いが、夫婦仲が円満なのではない。女性が社会で働く環境が脆弱であったため、経済的事情から離婚を思いとどまっていただけだ。この団塊世代の妥協に満ちた夫婦生活を目の当たりにして育ったのが団塊Jr世代。だから団塊Jrは結婚というものに幻滅しており、そのことが婚姻率の低下の一因になっている” といった分析は女性ならではだ。女性の視点から世代間にあるシコリを知るための良書だ。2018/07/14
まさこ
14
世代が時代が違うというのはこういうことか。上り調子の時代にたまたま生まれついた団塊世代の価値観で育てられるジュニア。人に迷惑をかけるな,と育てられた世代は助けを求めにくい。そして成人しては自己決定自己責任の時代に移り、躓くと自責の念にかられ自傷に向かうのは必然ともいえるか。改革運動へ向かわないのは政治にかかわるなという団塊からのメッセージを受け取ってきたから?SEALDs世代にスキップするのか。女性センターグループの高齢化か~。団塊世代が渡したいバトンとまっぴらなジュニア像はどこでも。東京自治区的な希望。2019/08/24