内容説明
17歳の冬、僕らが眠るホテルは倒壊した。あの地震さえなければ、初体験の相手は美希子になるはずだった……。生き埋めからひとり生還した僕は20年後、Facebookを通じて大学の旧友と再会。彼女の記憶を抱えて生きる僕に彼が持ちかけた「あること」とは。繰り返される自然災害とテロ、21世紀の人類の苦悩の先に待つ希望。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
これは初めての作家さんでしかもどこかで評価されていたので手に取ってみました。最近の小説ということなのでしょう。若干SF的な感じもありますが現代小説なのでしょう。阪神大震災とその後の20年たった後での様々な感情や様子をSNSやフェイスブックでのやりとりなど書いているのですが私にはあまり実感がありませんでした。やはり年齢を実感しました。2018/04/30
キク
60
「『男性はこう考えるのか』と、レビューを読んで参考になります」という言葉をかけていただいたことがある。すごく嬉しいんだけど「僕の感想に一般性や普遍性は全然ないし、内容としても大したことはない。これを一般的男性の意見と認識することは、あまりよくないんじゃないか?」と申し訳ない気がしていた。ある種の階層に属する男を理解するには、この表題作を読めばいいと思った。僕の同級生からは医者も弁護士も東大教授も開高健賞受賞作家もでた。そんな男達を横で見てきた者として、この小説で描かれる男達の佇まいは、すごくリアルだと思う2023/05/03
そうたそ
34
★★★☆☆ 今までの作品とは少し異なる作風。阪神大震災にて恋人とホテルにて生き埋めになった僕。自分のみが生き残ってしまい、彼女の記憶を抱えて生きている。そんな中久々に出会った旧友は死んだはずの「美希子(=彼女)」と称する人物を次々と彼にあてがうこととなる。SNSがキーポイントとなる本作。人類的・世界的視点からものごとを俯瞰的に見る「神ポジション」語りもまた本作のキーワード。SF色は今までよりも薄く話もとっつきやすい。ただその言わんとしていることが分かるような分からないような感じがするのは従来どおり。2017/09/28
Tαkαo Sαito
31
ニムロッドが好きすぎて上田さんの本2冊目のトライ。小難しく、かなりメタ的で、村上春樹に近い感じがした。著者はIT系企業の役員もやっているということもあって、ニムロッドでもそうだったが現代社会、ビジネスシーン等のリアリティ描写は凄く上手いと思った。「塔」という、不可思議な人工物を、とことん掘り下げていくと、ここまで物語は壮大にできるのかと読み終えて放心気味。玄人向けもしくは、変わりもの好きな人にはオススメできそう…2020/12/30
アーちゃん
29
図書館本。大半を占める表題作の「塔と重力」は、阪神淡路大震災の罹災によるトラウマ(生き埋めとある女性の死)を抱えた主人公と主人公に命を救われた水上。実は水上の書いているという小説が全篇を通じてのカギになる。今回はFacebookやTwitter、流行歌なども入り、著者にしては足に地の付く表現が多いですが、流れるようなリズム感のある文章は変わらず凄い。残り二編「重力のない世界」「双塔」まで一気に読者を引っ張る力量は大したものだと思います。2017/10/25
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