文春文庫<br> 神は銃弾

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文春文庫
神は銃弾

  • ISBN:9784167527853

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内容説明

「このミス」第1位! “暴力の詩人”ボストン・テランの輝かしきデビュー作。

元妻とその再婚相手をカルト教団〈左手の小径〉に惨殺され、娘を誘拐された刑事ボブ・ハイタワー。元薬物中毒者の女性ケイス・ハーディンの助けを借りて娘の足跡を追い、教祖サイラスと〈左手の小径〉に復讐を誓う。

愛と憎悪、セックスと暴力、そしてドラックと銃弾。鮮烈な文体で描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。

発表と同時に大きな反響を呼び、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞候補作となり、英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を受賞。
日本でも「‘02年版 このミステリーがすごい!」第1位に選出。日本冒険小説協会大賞を受賞した。

解説・池上冬樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

150
ボストン・テランのデビュー作。人生を真っ当に過ごしてこなかったひとが持つ骨太の荒々しさ、容赦のない残酷さが、終始貫かれている。行儀のよくない周りの中で、必然のように文学にふれ、自分なりの美しい文章をこの作家は身につけていったのではないだろうか。ブコウスキーやトム・ジョーンズを思わせる。悪魔は環境から生まれていくさまが、過酷な運命で人が変わっていくさまがかなしかった。「彼の頬の稲妻が光り、彼の顔が強ばる。火が出る前に建物が息をするように、顔に描かれたなかなかの傑作が内側にへこむ。熱がその傑作を貪り食う」2019/01/01

遥かなる想い

112
2002年このミス海外1位。別れた妻を殺し、娘を連れ去ったカルト集団への憎悪のようなものが、やや抑えた文調で描かれる。ただ、主役・悪役の人物造形がやや弱く、物語の輪郭がはっきりしない気がする。2011/01/30

星落秋風五丈原

63
1995年クリスマス。カリフォルニアの邸宅で警察官の夫ボブ・ハイタワーと離婚し、サムと結婚したサラをカルト教団〈左手の小径〉のサイラスとガター、そしてリーナが襲撃し、二人が殺され娘ギャビは誘拐される。ギャビと連絡が取れないのを気にしたボブの上司・クレイ保安官事務所長ジョン・リーのもとに首謀者のサイラスから犯行声明が届く。ボブはギャビを探すため、元薬物中毒者の女性ケイス・ハーディンの助けを借りて教祖サイラスと〈左手の小径〉を追う。いやはや、これがデビュー作か。ヒロインの存在感の強さよ。2021/09/07

白のヒメ

58
カルト教団に前の妻を殺され、娘を誘拐された男。役立たずと言われていた男が娘の為に命をかける。手助けするのはもと教団員の女。薬漬けで犯罪にまみれていた過去の自分を償うため、さらわれた娘を追う。作者の処女作だという本作。ただただ圧巻のスピード展開に飲み込まれ、読者はまるで引きずられるように後をついていくしかない。あくまでも物語はリアルで綺麗ごとは無し。目を覆いたくなる真実のみで作られる。この絶望的な状況における真実とは銃弾であり、それは神であった。物凄く胸のすくエンタメだけれど、読み手の体力のいる小説だ。2018/04/12

タツ フカガワ

55
カルト教祖らによる目を覆うばかりの夫婦惨殺と14歳娘の誘拐事件。被害者が別れた妻と娘だった保安官のボブは、薬物中毒から更生したばかりの元カルトメンバーだったケイスの協力を頼みに娘を取り返す旅に出る。なにやらアメリカB級映画の筋立てのようだけど、これが面白かった。全編に狂気や怒り、憎悪が渦巻くヒリヒリするような緊張感と、身も心も笑いながら切り刻む暴力が横溢するサスペンス感が極上。凝った修辞の語り口のためサクサクとは進みませんでしたが、独特の物語世界と文字通り満身創痍のヒロイン、ケイスの造形がとてもよかった。2023/09/29

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