内容説明
中国や韓国は儒教によって国が統治され、儒教は服装や冠婚葬祭のやり方まで、社会のすみずみに行きわたっていた。日本では、朱子学や陽明学は、武家の間に広まり、その儒教的教養の水脈は、水戸光圀、大塩平八郎、吉田松陰、西郷隆盛、伊藤博文……と受け継がれ、日本の近代化を用意した。中国哲学の専門家が、東アジアの中の日本を俯瞰して論じる、あたらしい明治維新論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
20
「日本人は死者にムチ打つことをしない」、「中国人のようにいつまでたっても秦檜に唾を吐きかける、ああいうしつこいことをわれわれはしない」とおっしゃっていますが、これは少なくとも靖国神社には当てはまりません。2018/01/07
Porco
18
面白いのですが、まとまりに欠ける本でした。2018/05/12
さとうしん
11
「儒教が支えた明治維新」とあるが、そのテーマに即しているのは全3章中第1章のみで、全体は「儒教が支えた日本の歴史」と言った方がふさわしいと思う。内容はこれまでの著者の論著や、著者が深く関わった「にんぷろ」の成果のエッセンス的なもの。あとがきに『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』を意識した一言があるが、本当に悲劇なのは「儒教に支えられた」日本のことを自覚せずに中国・韓国をあげつらうことなのかもしれない。2018/02/19
ゆうきなかもと
7
やっと読み終えた。 前半は、明治維新の遠因として儒学思想が如何に貢献したかについて、 中盤は五山文学から夢窓国師の話に抜ける中、靖国神社とその周辺の思想の不寛容さは決して日本的なものではなく、歴史を紐解けば日本の南北朝時代に「怨親平等」の思想があったことを指摘するとこがスリリング。 後半は、東アジアの地政学的な条件は古代からさして変わっていないので、外交的にもっと歴史学の知見を活かすべきなのだが、 通俗本や歴史小説から発信された偏見が世にはびこっているので、なんとか頑張りたい的な内容。 超面白かった!2019/04/08
kenitirokikuti
6
あとがきから。来年(2018)は明治150年であるけれども、唐の建国(618)から1400周年、明の建国(1368)から650周年でもある。2017/12/21