内容説明
FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女は〈庭師〉と呼ばれる男に拉致された10名以上の女性とともに警察に保護された。滝や小川があり、蝶が飛びかう楽園のような〈ガーデン〉――完全防音で随所に監視カメラが設置され、外界から隔離された秘密の温室に、彼女たちはコレクションとして軟禁されていたのだ。女性の口からじわじわと明かされていく事件の全貌に、恐ろしい犯罪に慣れているはずの捜査官たちが戦慄する。おぞましくも美しいこの地獄でいったい何が起きたのか。一気読み必至、究極のサスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
183
2019年このミス海外第9位。 女の子たちの拉致・軟禁をテーマにした 物語だが、 全編を覆う異常な程の緊迫感が怖い。 マヤが語る 〈ガーデン〉での日々… 庭師と その二人の息子、そして 軟禁された 女の子たちの 異常な関係が 不気味 そのもの で、静かなる恐怖の世界を奏でる。 グロテスクで おぞましい作品だが、 凄惨なシーンがなかったのが 救い… そんな読後感だった。 2018/12/23
紅はこべ
143
最近の海外ミステリ、拉致監禁軟禁、レイプ、児童虐待、強制タトゥーが多くて、またこの手の話かと食傷気味だったが、解放された被害者が捜査官相手に語るという、新しいパターン。ガーデンでのマヤの体験話よりも、捜査官のヴィクターやエディソンとのやり取り、駆け引きの方が面白かった。庭師はそこそこ高齢だと思うけど、衰えない性欲が気持ち悪い。デズモンドも自分が愛される価値があると思っている風なのも気持ち悪い。この地獄はおぞましいが、決して美しくはない。公判が開かれるとしたら、また地獄だな。庭師は金と権力ありそうだから。2019/02/22
青蓮
117
美しい庭へようこそーーしかし、そこは地獄の庭だった。外界から隔離されたそこは防音完備、監視カメラが設置された悪夢のような温室。閉じ込められていたのは「庭師」によって拉致され、背中に蝶のタトゥーを施された美しい女性達。死して尚、出ることが許されない〈ガーデン〉から彼女達は脱出できるのかーー続きが気になって一気読みでした。酷く悍ましい事件の全貌が明らかになるにつれ「庭師」の歪んだ欲望と狂った愛情に吐き気すら覚えました。そんな異常な世界でも正気を失わなかったマヤは強い人間だなと感じました。とても面白かったです。2018/01/20
ゆのん
98
16歳の少女達を誘拐し『ガーデン』に軟禁する『庭師』。そこから生きて現実の世界に戻ってきた少女をFBIが聴取する中で明らかになっていく『ガーデン』の実態。嫌悪すべき犯罪であるがその中に美しさが散りばめられている。その美しさがゾッとする恐怖を強くしている感じがする。救出されて外の世界でさらなる戦いが待ちうけている訳だが『庭師』によって失われた時間やものを取り戻してもらいたいと思わずにいられない。2018/03/06
のぶ
85
この小説、ウィリアム・ワイラー監督の映画「コレクター」(原作もあるはず)と設定がすごく似ている。本作は〈庭師〉と呼ばれる男が少女を監禁し、蝶として飼育状態を描いたサイコサスペンスだった。二番煎じだからつまらないかと言えば、そんな事はなく監禁する側とされる側の心理がとてもうまく表現され、読む手を止めさせない本だった。作品世界も妙に幻想的なところも不気味な雰囲気を醸している。FBI特別捜査官の取り調べでと被害者の語りで事件が明らかになってくる構成もとてもうまいと思った。ともかくも歪んだ愛の物語だった。2018/05/02
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