内容説明
雑誌のミステリー紹介コラム「フラグランテ・デリクト」と、監修を担当した海外推理小説のシリーズの作品解説を集めた「クライム・クラブ」の2つをまとめた1950~60年代にかけての欧米のミステリーブックガイド。J・Jにしか成しえない圧倒的な情報が詰まった一冊であり、独特の語り口は、今をもってなお新鮮である。また、当時の海外ミステリー事情の貴重な資料にもなっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
my
1
1950年代から60年代にかけてのミステリーガイド。当時情報も殆どなかった中で、古本屋に行って洋書のミステリーを目を爛々とさせて読み漁る文人たちの姿が目に浮かびます。紹介された本は、今手に取ることはできないけれども、その簡潔にまとめられたあらすじから、面白さの香りが漂ってきます。特に勉強になったのは紹介されたミステリー作家シムノン。如何に主人公を苦悩に陥れられるかを考えることが、魅力的なキャラクターを生み出すといいます。ミステリーを書く上でヒントになることが沢山散りばめられた1冊でした。2021/02/17
garyou
1
「寒い国から帰つてきたスパイ」だとか「藁の女」だとか、出たばかりのころに読んでゐるといふのがなぜだか無性に羨ましい。ここで紹介されたのがきつかけで実際に翻訳された本つてどれくらゐあるんだらう。これまた無性に未訳の洋書とか読みたくなつてくる一冊。2015/07/04
nightowl
0
マメなのは分かるけれど、粗筋紹介がくどくどと長すぎる前半部で挫折しそうになった。シムノンの章あたりからは良い意味で慣れた書き方になってくる。最近落ち着いてきた北欧ミステリブームの中で以前の作品として「青い湖水の死」やメリー・ラングを紹介してほしい。<クライム・クラブ>は仕事としての文章という印象が強く、逆に癖が無さすぎて物足りなさがある。著者の多趣味には恐れ入りつつ、抜きん出てミステリが好きという訳ではない所が何とももどかしい。2015/11/11