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内容説明
ただ一度の中東旅行の記録、花田清輝、日夏耿之介、小栗虫太郎など偏愛作家への讃辞、幻想美術、オカルト、魔術──その魅力が凝縮された幻の澁澤本。没後30年記念刊行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
22
平凡社ライブラリーより、幻の名著没後30年、生誕90年にかんがみの復刻らしいです。これは、幕の内弁当みたいに色んな要素(エッセイ、旅行記、文学論、美術論、作者の思い付きによる、サロンやオカルトに関する考察まで)どれも楽しめます。これ一冊で澁澤龍彦の趣味、嗜好をほぼ辿ることができる好著です。キリコに関する美術論や池田満寿夫さんについてなんかが私のツボでした。また表紙も素晴らしいです。澁澤龍彦の魅力が凝縮されてます。2018/02/12
Saku
19
1970年代初頭の空気感を澁澤龍彦の目を通して覗く。エクソシストが上映されたりの空前のオカルトブームの中ではブームとしての薄っぺらさが蔓延していたのだろう。改めてオカルティズムや幻想美術について定義をする必要があったに違いない。オカルティズムに於いてはコリンウィルソンの誤りをバッサリと切って捨てるのが痛快だった 2023/04/27
吉野ヶ里
11
澁澤龍彦のエッセー。濁世のことがらから離れた私生活と関係しないものをと思い手に取る。美術論から中東旅行記、オカルティズムに書評など多様。あまりまとまりはないが、好奇心を刺激する。澁澤さんの雑談を聞いてるような気分になる。こんな素敵な大人になりたいな。教養が豊かだとものの見方もずいぶん違ってくるだろう。旅先や絵画について調べながらだったのでゆっくり消化。ギュスターヴ・モローの女怪と美少年のモチーフにゾクゾクしました。キマイラに蹂躙されたいという倒錯的な欲望、少しわかる。2020/08/29
ふるい
8
「幻想美術とは何か」「エクソシストーあるいは映画憑きと映画祓い」がおもしろかった。"世間一般の大きな誤解は、幻想とは曖昧模糊たる、もやもやしたイメージに冠せられた名だと考えられていることであろう。" 澁澤没後30年の今でも、幻想の定義は曖昧なままのようだ。2018/01/15
らい
5
美術映画小説いろんなことに話しは延びていきながらも根底にある趣味は反リアリズム的な幻想に一貫していて、著者の思想を存分に楽しめた。「過ぎにしかた恋しきもの」が特に好きだった、思うにこれが永遠のノスタルジアねえ。エクソシスト見る。2020/01/16