内容説明
恋愛小説とミステリが融合した傑作長編!
京都で和裁士を務めていた堀雅代は、名前を堀田雅代と偽って金沢市大野町にあるモロミ館に住み込んだ。
一人息子・圭介の〈死の真相〉を突き止めるためだった。
当時、金沢芸術大学の学生だった圭介は、16年前に金沢港の防波堤から海に落ちたのだが、波にさらわれたと警察に処理された。
だが、雅代は息子の事故死や自殺を認めるわけにはいかなかった。
「息子は殺されたのだ」
圭介の大学時代の同級生で親友だった柿沼利夫と、妻になった涼子が何か知っているに違いない。
利夫は金沢芸大の准教授になっていた。
遠藤美津は金沢の郊外、湯涌温泉にある夢二館に勤める20歳の美しい女性だった。彼女は利夫と不倫関係にあった。
金沢芸大の講師・薄井宏之は、古いロッカーの中から布にくるまれた白磁の皿を見つける。
この白磁の正体をめぐって陶芸界の重鎮ウダゴーこと羽田(うだ)豪太郎が大学を訪ねてくる。
羽田は柿沼利夫の妻・涼子の父親だった。
〈息子圭介の死〉と〈謎の朝鮮白磁〉が出合った先に真実はあるのか――。
恋愛小説とミステリが融合する、名手・高樹のぶ子のエンタテインメント長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
【2021年色に繋がる本読書会】【月イチテーマ イロ】16年前に亡くなった息子堀圭介の復讐を目論む母親。金沢芸術大学講師薄井宏之がロッカーの奥から見つけ出した埃まみれの包の中の皿。二つの全く関係なさそうな出来事が、過去に葬られた悪事を明らかにしていく。海を隔てた先にある北朝鮮の闇と日本の闇が、北陸の海岸線で交錯する。2021/03/27
ゆみねこ
72
読メ登録後、初・高樹のぶ子さん。16年前謎の自殺をした一人息子・圭介。彼の死に関わっていた夫婦への復讐と死の真相を探る母。朝鮮半島由来の白磁の皿や陶芸界の大物…。うーん、何だかもやっとした読後感でした。2018/02/21
Kei
42
最初、青春時代に、一人の女性を挟んでの二人の男、と、いつもの著者パターンか?とおもいきや。ミステリーのような、また、グローバルな展開にもなり、母親の復讐から社会的問題になり、と。少しとっちらかった印象です。皆さんが指摘するような矛盾もありますが、そこを越えて、美しい皿と能登の海が思い浮かびます。題名がよいですね。2018/03/07
星落秋風五丈原
27
久しぶりに読んだからなのか濃厚なセックスシーンは影をひそめ復讐譚になっていた。でも何だか中途半端な印象を持ちました。2017/12/19
hiromura
18
久しぶりの高樹のぶ子さん。亡くなった息子の真実を探す母がどうなっていくのか、気になってどんどん読んでいったが、ラストは物足りなかった。2018/01/20