内容説明
特定のメディアの偏りばかりが目につくとしたら、それは観察する者が何かの立場に強くコミットメントしているためだ――
人と人とのコミュニケーションに、偏りが存在しない状態はない。この世に「真実そのもの」が仮にあったとしても、それをまっさらに伝えることのできる「なかだち」は存在しない。文字であろうが映像であろうが音であろうが、伝えられる情報量は有限だ。
ニュースは出来事を要約して伝えなければならないし、仮に無限の伝達が技術的に可能であろうと、人の時間は有限である。すべての情報は断片的で、切り取られたものだ。何かの断片的で編集された情報を手にしたうえで、「真実を知った」と思い込むのは誤っている。
〈本書まえがきより〉
評論家・ラジオパーソナリティとして活躍する著者による、分断の時代のメディア論。
本書では、安保法制や軽減税率など過去の新聞記事を引用しながら、あるいは独自データを用いながら、各メディアの「クセ」が示される。
それを見て、「やれやれ」「やっぱり」と溜飲を下げるかもしれない。が、本書の目的は、むしろ、そうした“ふるまいへのリハビリにある。
「バイアスのないメディアなど存在しない」という前提に立ち、その「クセ」を詳らかにすることで、分断する社会で溢れる情報とつきあう具体的スキルを提示する一冊だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
39
週刊SPAの連載がベース。荻上チキの厳しい批評眼が冴える。各新聞のデータ分析もあり、それぞれの特徴がよくわかるつくりになっている。個人的に面白かったのは、各紙の書評についてまとめた章。わたしは本を選ぶ際の目安にしており、二紙以上がとりあげている本は苦手な分野でも読むよう心がけている。書評面は開かれている印象があったが、まさにその通りの説明だった。ウェブ言論の危うさやデモをポスト社会運動と捉える考え方なども刺激になった。なかなかありそうでなかった本でした。2017/12/15
こも 旧柏バカ一代
26
月金のsession22をほぼ毎日聴いている身としては、いつ書いてるの?と思ってしまう。 アンケートの取り方を書いてあり、知らない事が多くあった。新聞社とTV局の問題クロスオーナーシップも書いてある。でも、あくまでも国内だけなのが不満だけど仕方ないのかな? だって忙しでしょ身体壊されるより遥かに良いわ。 ただ言えてる事は、日本の5大新聞、在京テレビは基本的に発酵してる。総理大臣と偉い人が食事をしちゃうなんてね。。論外だろう。2020/01/22
matsu04
23
「すべての新聞は偏っている」って、当たり前と言えばまあ当たり前のことなんだけれど、いろいろなテーマ別に全国紙5紙の記事を並べてみると、予想どおりの結果とは言え面白い。「『どうせ朝日だろう』『また産経だろう』で済ませてしまうと、良質な情報をも読み流してしまうことにもなりかねない」との著者の主張にも頷ける。また、各社の世論調査方法の差異や書評記事についての解説も興味深い。2018/06/11
hk
22
日本の5大新聞社は異口同音「弊社の新聞を購読しているボリュームゾーンは高所得者層」と陰に日向に広報している。本書ではその理由を「このアピールは読者へ訴えているのではない。購買力のある高所得者が購読しており広告効果が強いというスポンサーへの秋波だ」と分析。その上で「新聞は生活必需品だから」と消費税軽減税率を求める新聞社連合にたいし、それは高所得者層が購買層であるならば通らない理屈なのではと批判している。 ワタシはここらの議論から広告に依存している新聞という媒体ないし業界全体の偏りと限界を改めて痛感した。2018/05/11
かふ
16
5大紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)のそれぞれの特徴と政治に対するスタンスをデーターによってわかりやすく解説。取り立てて目新しい主張はないけど、改めて産経は「対朝日(かまってちゃん)」なんだなと思った。産経新聞は1992年9月以降のデーターしかデジタル化してないのは、過去を詮索されと困るから?それぞれの新聞が選ぶ有識者というのもだいたい予測はつくが、この本の著者である荻上チキさんは朝日が多いから「偏っている」と言われるかもしれないな。そういう本だからいいのか。2018/03/19
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