内容説明
一神教はなぜ争うのか?
「悟り」「執着」とは何か?
ドイツ人禅僧が教える、日本人のための宗教原論。
「家族を捨て、悟りを開いたブッダは、実は冷たい人だったのではないか?」
「愛を説くキリスト教徒は、なぜ戦争ばかりしているのか?」
この、多くの日本人が持つ“疑問”に対して、
ドイツ人禅僧である著者が「仏教」と「キリスト教」を対比させながらひとつの答えを出す―。
「仏教」と「キリスト」教の違いが一読でわかる!
現・曹洞宗の住職で、元・キリスト教徒(プロテスタント)による、異色の比較宗教学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もちもちかめ
22
こちらは衝撃とまではいかず、なるほどーくらい。キリスト教はまず言葉ありき。言葉が重要。神は自分に似せて人間を造られた。なので、人間は神に代わって万物を支配する義務がある。支配する為には神の設計図を読み解くことが必須でそれこそが[自然科学]。2017/11/14
しましまこ
17
作家買い。『仏教の冷たさ』は現状をありのままに受け入れ、打開策を考えない多くの仏教徒の怠惰。『キリスト教の危うさ』は愛を叫びながら、結局は憎しみ合う一神教の謙虚のなさ、とバッサリ。日本の宗教はニオイを感じさせないんで、イスラム教もキリスト教も日本に取り込んでアク抜きして世界にもどせばと...なるほど。2016/05/22
きゃんたか
15
キリスト教に理解のあるドイツ人著者の本ということで手を取ってみたものの、期待が過ぎたか。著作の結論は「どの宗教もライトに成熟して理解し合おうよ。」くらいのものなので、それについて言う事はない。仏教に関する件も筆者がガチの仏教徒である以上、素人が口を挟む事はない。問題はキリスト教に関する件。イエスの発言の揚げ足を取ってはダメ出しし、パウロをキリスト教の創始者と勝手に祀り上げる。「元キリスト教徒」と言う割にはお粗末と言う他ない。日本人クリスチャンを称賛する件は偏見も甚だしい。宗教界も餅は餅屋と言う事を学んだ。2022/10/06
rigmarole
9
印象度B+。仏教は元来自分だけの悟りを目指していたので冷たいが大乗仏教の菩薩道によって温かくなったはず、それが停滞してしまった、一方キリスト教は成立当初は好戦的であり、一神教が概念的に不徹底なところに危うさがある、というのが著者の見方のようです。キリスト教関係の本をほとんど読んだことのない私にとって、特に同教の話に新鮮なものが多く、ためになりました。仏教との相違点は明らかながら、意外に歴史的経緯や概念理解に共通点も見出されることが分かりました。そして、宗教に関係なく、やはり日本人の精神風土はいいと再認識。2017/06/02
るるぴん
6
各宗教の成り立ちなどの説明は、自分には縁遠い世界で理解しずらかった。最終章で、日本の「何でも取り入れて、独自の文化に育てる」力に言及。日本人特有の「良いとこ取り」=「毒抜き効果」はなるほど~と思った。師がおっしゃるように、一神教のウザイところは「わが宗教こそ正しい」という態度と「守るべき絶対的な教え」。譲り合わない分、異文化の周辺国といざこざが起きる。その点、仏教は「自己と向き合う」性質が強く、ある意味自由で押し付けが無い。その分消極的過ぎて、広まりにくい。師は両方の文化を理解している貴重な人材と思う。2019/10/24