内容説明
ある秘密を抱えた月ヶ瀬和希は、知り合いのいない環境を求め離島の采岐島高校に進学した。采岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、夏の初め、和希は神隠しの入り江で少女が倒れているのを発見する。病院で意識をとり戻した少女の名は七緒、16歳。そして、身元不明。入り江で七緒がつぶやいた「1974年」という言葉は? 感動のボーイ・ミーツ・ガール!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
343
小さな島の高校での高校生活を描いた青春物語です。筋が一本通ったドッシリとした骨格のある物語でした。人に知られたくない過去、傷を持っていても前に進まなきゃいけないですね。和希の周りの人が、いい人達に恵まれて良かった。幹也、お前も傷を背負ってたんだね。物語を通して幸せの条件とはなんだろうと考えてしまいます。切なさがいっぱいなんだけど、これが君のためと思えるなら、幸せなんだろうと思いたい。ただただ涙が溢れてきます。2018/10/20
ろくせい@やまもとかねよし
338
感情をジェットコースターに乗せたような読後感。私の感情は、不思議な女子高生とともにコースへ出発。不遜な主人公の男子高生ととも徐々に高度をあげ、彼の周囲との氷解から頂点付近を堪能。しかし、衝撃な彼の過去の暴露で感情は急降下を強いられ、彼女、友人、見守る大人の思いやりで大きく宙返り、そして彼自身の回想で感情はスクリュー回転へ。さらに真相と彼女の正体で感情は高低差とともに大きく迂回し突然ガタンと停止。スタート地点へ向かう感情は、友人の告白で落ち着くが、終点付近で提示する写真に写されたラストには必至の感動だった。2020/03/10
三代目 びあだいまおう
330
最後の感動が半端ないという前振りが先入観となり、裏切られそうな期待感が重荷でした。訳あって離島に逃げてきた高校生の主人公は『神隠しの入江』で少女を助ける。息を吹き返した少女が口にした『あり得ない現在』その冒頭のシーンから主人公の青春ストーリーが続く。気のいいクラスメイト達、不思議と存在感のある高津。そして助けた少女:七緒。やがて島全体が盛り上がる文化祭に向けて準備(青春)を重ねる彼ら達。ためにためて辿り着く結末。勿体なすぎてゆっくりと何度も読み返した終章!前振りに偽りなしでした!とても良かったです‼️🙇2020/03/18
合縁奇縁
271
ある秘密を抱えた月ヶ瀬和希は、知り合いのいない環境を求め離島の釆岐島高校に進学した。釆岐島には「神隠しの入り江」と呼ばれる場所があり、夏の初め、和希は神隠しの入り江で少女が倒れているのを発見する。七緒と名乗り少女は「1974年」から来たと言うが…。時を超えた切なく爽やかなボーイミーツガール。起承転結の文字通りの展開で盛り上がっていき、ラストは切なくなります。和希と七緒の淡い恋模様よりも、和希と親友との関係の方が強く印象に残りました。寮のルームメイトである仲良し四人組の軽快なやり取りが面白かった。2024/07/13
さてさて
255
『誰にも気にとめられない影の薄いやつになりたい』。そんな思いの中に『中国地方の日本海』に浮かぶ『采岐島』の『シマ高』へと入学した主人公の和希が『神隠し』や『マレビト』の言い伝えのある『入り江』で謎の少女と出会った先の物語が描かれるこの作品。そこには『文化祭』への盛り上がり等に”学園モノ”の側面を堪能できました。そんな物語に少しずつ匂わされていく”ミステリー”の要素に息を呑むこの作品。巧みに張り巡らされた伏線とファンタジーとしての感動が読者を包み込む圧倒的なその結末にただただ驚きを見る素晴らしい作品でした。2023/05/09