ちくま文庫<br> 箱根山

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ちくま文庫
箱根山

  • 著者名:獅子文六【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2017/12発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480434708

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内容説明

箱根の山は天下の嶮か、ケンカのケンか?──足刈にある二軒の老舗旅館、玉屋と若松屋は先祖代々の犬猿の仲だ。だが若松屋の娘、明日子と玉屋の若番頭、乙夫は反発しながらも内心惹かれあっていた。いがみあう旅館、勃発する跡継ぎ問題、親から紹介された見合い相手、旅館の経営不振と大事故、乗り込んでくる都会の大資本……二人の恋の行方と箱根の未来はどうなる?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヨーイチ

47
言うまでもなく、文六先生の小説はハッピーエンドというか「収まる所に収まる」形をとり笑顔で終わる。本作もそうなのだが、「収まり方」が少々意外であった。なんで?!って程ではないが「そう来たか」って感じ。ネタバレになるので詳細は控えるが発表当時の世相、雰囲気を考慮すると反動(当時の)呼ばわりする人も居たのではって気がする。まあ70を超え、勲章も貰った大作家だから当然とも言えるが。そんな考え方をするのも此方が年を取ったってことにもなるのかも知れない。続く2018/02/10

shizuka

46
老舗旅館のばちばちバトルの一冊。いらん意地はって後に引けなくなって百余年。でもそこにもなんだかんだで新風が。玉屋の使用人ドイツ人ハーフの乙男(Otto)くんと若松屋の娘、明日子ちゃん。明日子ちゃんが英語が苦手なのが幸いして、こっそり乙男くんと家来契約(あたしに英語を教えること)を結ぶところから、両老舗旅館の思惑がずれはじめる。乙男くん女中の息子だから根っからの使用人気質。家来契約を嫌がらずに承るとか。でもそんなピュアさが明日子の気持ちも動かすし、最終的に箱根戦争に終止符を打つことに。平和が一番だね。2019/08/13

おいしゃん

39
久しぶりの獅子文六作品だったが、こちらもまた読みやすくも奥深く、ユーモアたっぷりの楽しい本だった。 冒頭の箱根を巡る鉄道会社同士の利権争いから一転、物語の大半は箱根のある旅館同士の確執を描く。 不思議と全く古さを感じさせず、最後まで飽きることなく引き込まれた。両家の若人たちの行く末がとても気になる…。2020/06/03

みつ

22
時代は1960年代初頭、政治から経済へと季節が変わる頃。箱根の新たな開発のため、対立する大手私鉄傘下の地元企業が画策する道路の新設と遊覧船の急造。いがみ合う地元の老舗旅館が企図する次の一手。それぞれの旅館の若い男女の未来・・・と様々な要素を織り交ぜて物語は進む。読み手により興味の対象は異なることになろうが、著者の語り口の巧みさと場面転換の速さで次への興味を掻き立てるのは、新聞連載のゆえか。終始明朗な小説に「アイノコ」(今では使えない差別表現)と呼ばれる青年の出自、箱根の盛衰の歴史に、戦争の影が落とされる。2021/09/19

goma

19
観光地、箱根の観光開発をめぐる争い、老舗旅館の因縁の戦いプラス、ちょっとしたロマンスありのエンタメ小説。それぞれの思惑がすったもんだしながら進み、ぼかしながらもお馴染みの観光開発会社や鉄道会社が出てきて面白可笑しく読むことができました。小涌園に関しては、この話では新しい風を吹かすべく進出してきた様が描かれていたのでホテル閉館のニュースを聞いてなんとも感慨深い。若い二人の十年後も気になるな~。2018/02/06

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